日本経団連タイムス No.2816 (2006年6月8日)

フック・ベトナム計画投資相と懇談

−日越経済関係の強化へ/日本企業の積極的投資を要請


日本経団連の日本ベトナム経済委員会(岡素之委員長)は5月25日、都内のホテルでベトナムのヴォ・ホン・フック計画投資大臣との懇談会を行った。フック大臣は、ベトナムの最新情勢を説明するとともに、日本企業のさらなる積極的な投資による日越経済関係の一層の強化を求めた。

まず、ベトナム経済への期待について語ったフック大臣は、新しい5カ年計画におけるベトナムの経済成長率を、年平均8%と見込んでいることを紹介。この水準は前回の5カ年計画よりも高めであるが、工業とサービス業に力を入れることで達成可能と説明した。また、この高い経済成長を支える資金として、GDPの40%に及ぶ必要資金の35%を海外からのODAや直接投資に期待していると語った。併せて同大臣は、市場経済への移行をさらに加速するとの基本方針が、党大会で決議されたことも紹介した。
続いてフック大臣は、ベトナム経済の課題について語った。ベトナムはWTO加盟を控えており、米国との交渉が大筋合意に達したことから、年末のAPEC開催時は、WTO加盟国として各国首脳を迎え得るとの見通しを示した後、ベトナムには中小・零細企業が多く、マネジメント力や労働技能水準において国際競争力の観点での試練が想定されることや、市場の発展のスピードに経済インフラ整備が追いついていないこと、法制度整備も必要であることなどを指摘。その他、貧困や環境の問題などの一連の課題があることを紹介した。
フック大臣は、これらの期待と課題を十分認識した上で、人材育成やインフラ整備、法制度整備などのアクション・プランを策定する予定であると語った。

日越経済関係については、既に日越投資協定という法的枠組みがあり、共同イニシアティブも第1フェーズを終え、現在、第2フェーズがスタートしようとしていることや、計画投資省と日本経団連との間に長きにわたり協力関係があることを大いに評価した上で、日本経団連メンバー企業からのさらなる投資が、両国の経済関係をますます強化するとの期待を表明。今後もビジネス環境改善に努力する考えであり、率直な意見を聞かせてほしいと要望した。

その後の懇談ではベトナムにおける電力、小売や、金融、空港、都市交通――などの具体的分野に関する今後の計画・見通し等について活発な質疑応答が行われた。

最後に岡委員長は、日越経済関係強化に向け一層の努力をしたいとの抱負を語る一方、ベトナムに対し、インドなどの国々に負けずに今後も引き続き投資環境整備の努力を継続してほしいとの期待を表明した。

【国際第二本部アジア担当】
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