日本経団連タイムス No.2817 (2006年6月15日)

日本経団連自然保護協議会が06年度総会開催

−06年度事業計画など承認/会長に大久保氏を選任


日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)は9日、東京・大手町の経団連会館で2006年度会員総会を開催した。総会では05年度の事業報告や06年度の事業計画を審議した。また役員改選を行い、御手洗冨士夫日本経団連会長から自然保護協議会会長に指名された大久保尚武氏を会長に選任、大久保会長は3期目の任期を務めることになった。併せて、樋口廣太郎特別顧問、阿比留雄副会長ら18名の役員を承認した。総会終了後、世界的な女性登山家である田部井淳子氏による記念講演会が行われた。

◆05年度事業報告

総会ではまず、05年度の事業報告および収支決算報告が行われた。概要は次のとおり。
公益信託日本経団連自然保護基金(KNCF)に対する募金活動では、1億8439万円が集まった。CSRの高まりにより、KNCFや自然保護協議会の活動への理解が高まったことを反映したものであり、前年実績を約2450万円、法人数では28社上回る結果となった。
またKNCFによる自然保護プロジェクト支援については、63件のプロジェクトに対し、総額1億6000万円の支援が決定された。
自然保護プロジェクトの視察、フォローアップについては、昨年11月、大久保会長を団長に13名からなるミッションを、ボルネオ島を中心にマレーシア、インドネシアに派遣。熱帯雨林の再生事業やオランウータン保護の現場視察を行い、NGOを励ますとともに、現地政府や在外公館、日系企業と交流を行った。特にインドネシアでは、ジャカルタでカッラ副大統領はじめ政府要人に、日本の経済界としての自然保護への取り組みを説明し、今後に向けた意見交換を行った。
その他の活動として、企業の環境教育の現場取材を行い、活動状況の把握と、その情報発信を行った。企画部会の協力を得て、NGOとの交流会、報告会を継続して実施。特に国際NGOとの交流では、コンサベーションインターナショナル(CI)のシンポジウムへの後援や、ミッターマイヤーCI会長との懇談、バードライフ・アジア地区委員会との意見交換、ラムサール条約締約国会議への出席などを行った。

◆06年度事業計画

続いて06年度の事業計画と収支予算案が示され、原案どおり承認された。概要は、次のとおり。
自然保護プロジェクトの支援に要する募金にかかわる活動では例年どおり目標を2億円とし、会員企業の協力を得て目標額の達成に努める。
06年度の視察ミッションについては、ケニアのナイロビにおいて行われる気候変動枠組み条約の会合開催に合わせて、現地政府や国際機関、国際NGOとの懇談を行い、併せてKNCF支援NGOであるマラコンサーバンシーの活動地(マサイマラ国立保護区)の視察等を行うことを中心に検討していく。
また、企業の環境教育活動の継続取材を行い、冊子にまとめるなど情報発信を行う。NGOとの連携強化、さらにはCSRの観点を踏まえつつ自然保護活動推進の意義を訴えることなど、優先度の高いものから検討し、実現を図る。
さらに、今後のNGOとの協働のあり方を考えるとともに、内外の政府機関やIUCNなどの国際機関との連携を強化し、あらゆる機会を通して自然保護協議会の国際的認知を高めるよう努める。
06年度の予算については、管理費などの経費圧縮に努めるとともに、支出面では支援プロジェクトのフォローアップ調査費、NGOとのネットワーク形成費、広報・出版費について、一層の充実に向けた予算とする。

女性登山家の田部井氏が講演
―「世界の山々をめざして〜山から見た自然環境〜」

続いて、世界的な登山家である田部井淳子氏の講演「世界の山々をめざして〜山から見た自然環境〜」が行われた。同講演会には、会員企業や自然保護基金(KNCF)への寄付者など、約120名が出席した。

田部井氏は1975年に女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功し、以降、7大陸の最高峰を踏破している。講演ではパプアニューギニアや、南極大陸の最高峰に登った際の経験などを、ユーモアを交えて紹介。また、自身が自然に触れ、山登りを始めるきっかけになった小学校時代の思い出を語り、自然とのふれあいが少なくなった現代の問題点を指摘した。

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