日本経団連タイムス No.2818 (2006年6月22日)

「2006年度日本経団連規制改革要望」を公表

−15分野・230項目を取りまとめ/重点要望は40項目


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は、会員から寄せられた延べ826の個別の規制改革要望をもとに、15分野・230項目を「2006年度日本経団連規制改革要望」として取りまとめ、20日に公表した。分野別では、金融・保険・証券(30項目)、土地・住宅・都市再生・観光(26項目)、雇用労働、企業年金(ともに23項目)が上位を占めた。新規要望は97項目と全体の4割強、派遣労働者に対する事前面接等の解禁や、保険者と医療機関の直接契約に係る基準の見直しなど、特に実現が求められる重点要望は40項目となっている。
また、230項目の要望について、資格、基準認証、重複規制など、分野横断的な視点に基づく分類を行った結果、行政手続に関連する要望が多数(62項目)を占め、ビジネス現場では、依然として許認可等の手続関係の簡素化や、電子化などに関するニーズが高いことが明らかとなった。

経済活性化促進へ民間の提案に基づく個別要望実現数向上の必要性を強調

政策提言に相当する総論では、まず、小泉内閣における規制改革・民間開放の推進について触れ、民間人の知見の活用や、政治のリーダーシップの発揮により、官製市場の開放や市場化テストの導入など、改革が一定の成果を収めたことを評価。反面、日本経団連要望の実現度合いが、直近3年間で60%から50%弱へと低下していることを指摘し、経済の活性化を促すためには、民間の提案に基づく個別要望の実現数の向上を図ることが必要だと強調、課題解決に向けた規制改革・民間開放推進会議の積極的関与など、政府の集中受付月間制度の改善を求めた。

中長期的な規制政策のあり方については、(1)規制政策の質の向上と行政の挙証責任の徹底(2)イノベーションの創出に向けた規制改革への取り組み(3)事後チェック体制の整備等――の3点を掲げた。中でも、企業や国民の活動に官が関与・介入する規制については、官がきちんとその有用性を説明すること、さらには、その規制がどのような政策効果を発揮したかについて、検証・説明する責任があることを強調した。
さらに、行政におけるPDCAサイクルを着実に実施し、効率的な規制政策としていくためには、事後チェックの手法の確立や体制の整備が重要であることを指摘している。

こうした政策の基本的方向を踏まえ、具体的施策として、(1)規制に関する一覧表の作成(2)RIA(規制の影響分析)の早期義務付け(3)推進体制の整備――の3点を要望。特に、来年3月末に設置期限を迎える規制改革・民間開放推進会議の後継機関については、現在の会議と同等の権能を有する民間人主体の会議体を設置していくべきことを訴えている。

今回取りまとめた個別要望については、現在、政府が募集している規制改革・民間開放集中受付月間(あじさい月間)に提出、7月以降、関係省庁との折衝を経て、9月中旬には政府としての対応方針が決定される予定。
また、規制改革・民間開放推進会議の後継機関のあり方や、改革の重要課題については、さらに検討を深め、適宜、具体的な提言をまとめたいとしている。

【産業第一本部行革担当】
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