日本経団連タイムス No.2820 (2006年7月6日)

教育問題委員会が会合開催

−大島衆議院議員と懇談/教育基本法改正法案取りまとめ、経緯やポイントなど聴く


日本経団連教育問題委員会(草刈隆郎委員長、蛭田史郎共同委員長)は6月19日、東京・大手町の経団連会館で会合を開き、教育基本法改正に向けた与党内の協議の場である「与党教育基本法改正に関する検討会」の座長を務める大島理森衆議院議員を招いて、教育基本法改正法案の取りまとめまでの経緯や改正のポイントなどについて説明を受けるとともに懇談を行った。

冒頭、大島座長が、教育基本法改正法案の取りまとめに至るこれまでの経緯について、「教育基本法は中曽根内閣の折に改正の必要性が指摘され、小渕内閣で検討に着手したが改正案の骨格作成までに長い年月を要した。この背景には、歴史的に教育基本法が憲法制定と深いかかわりがあり、同法改正が憲法改正につながるとする考えから、改正に反対する意見が強かったためだ」と説明。
また、教育基本法改正に当たり、「新しい時代にふさわしい内容へと見直すために、(1)社会の成熟化(2)知識基盤社会の到来(3)市場主義のグローバル化(4)環境問題の深刻化――などの社会の変化を踏まえることが重要だ」「教育目標として新たに、(1)道徳心・自律心の涵養(2)個人の個性・能力、創造性の伸長(3)社会の形成に参画する意識の涵養(4)自国の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養(5)自然や環境の重視――などを掲げる必要がある」との考えを述べた。

次に、政府が国会に上程した教育基本法改正法案のポイントとして、前述の教育目標の見直しのほか、(1)義務教育年限を9年とする現行規定の削除(2)教育の受け手による学校規律の尊重の規定(3)教員の自己研鑽の努力義務の規定(4)宗教に関する一般的な教養教育の重要性の指摘(5)教育行政における国や地方の役割の明確化(6)生涯教育、大学や私立学校の役割、学校、家庭および地域住民の相互の連携協力に関する規定の新設――などの改正点を挙げた。
さらに、大島座長は、「継続審議扱いとなった点は非常に残念だが、臨時国会でぜひ成立させたい。民主党も独自の法案を提出しており、議論が高まるだろう」との見通しを述べた。

日本経団連からは、「現在の社会の要請や教育現場の状況などを踏まえ、教育基本法を速やかに改正すべきだ」「学力の問題や青少年の生活態度の問題をはじめとする教育の諸問題の解決に向けて、具体的な措置を講じていくことが求められている」などの発言があった。

【社会第一本部人材育成担当】
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