日本経団連タイムス No.2821 (2006年7月13日)

ラミーWTO事務局長が来訪

−WTO新ラウンド交渉で御手洗会長らと意見交換


WTOのラミー事務局長が5日、日本経団連を訪れ、御手洗冨士夫会長、宮原賢次副会長と懇談した。
WTO新ラウンド交渉は、年内妥結に向け農業、非農産品の関税削減等に関し合意に達しなければならない時期を迎えているが、6月29日から7月1日の閣僚会合でも合意には至らず、ラミー事務局長が各国と個別に協議し調整を行うことになった。ラミー事務局長は、その皮切りとして、日本経団連を訪問した。

冒頭、御手洗会長は、「WTO新ラウンド交渉が危機的状況にあることは理解しているが、日本の経済界としてはあきらめていない。限られた時間の中で、できるだけ早くテーブルに着き、妥結の方向を探っていただきたい」と述べ、ラミー事務局長による調整に対し期待を示した。

これに対しラミー事務局長は、WTO新ラウンド交渉について「非常に憂慮すべき状況にある」とし、その理由として、(1)農業交渉が膠着状態に陥っていること(2)交渉の妥結までに時間が極めて限られていること――を挙げた。その上で同事務局長は、各国の経済界からの支持と懸案事項に関する具体的なメッセージが必要であることを強調、妥結の期限まであと数週間と迫った今、日米欧の経済界で具体的なアクションを起こしてほしいと語った。

御手洗会長は、日本経団連として政府をはじめとする関係者に、WTOの推進を引き続き強力に働きかけていく考えであることを伝えるとともに、「交渉である以上、わが国だけでなく互いの譲歩によって進展を図っていく必要がある。ラミー事務局長の働きかけによって譲歩を引き出してほしい」と述べた。

ラミー事務局長は、EU、米国、日本、ブラジル、インド、オーストラリアから成るG6各国が柔軟な態度をとる用意があるというシグナルを出してもらえれば、合意に向けて前進することができると述べた。

【国際第一本部貿易投資担当】
Copyright © Nippon Keidanren