日本経団連タイムス No.2825 (2006年8月10日)

第7回アジア太平洋地域経営者団体サミット開催

−ビジネス環境変化に対応した経営者団体間の情報交換の必要性を確認


日本経団連は、7月20、21の両日、ILO(国際労働機関)、IOE(国際使用者連盟)、モンゴル経営者連盟との共催により、モンゴルのウランバートルにおいて、第7回アジア太平洋地域経営者団体サミットを開催した。同会議には、アジア太平洋地域21カ国の経営者団体の会長と事務局トップが参加した。日本経団連からは、岡村正副会長、鈴木俊男日本経団連国際協力センター参与(ILO使用者側理事)らが参加した。
今回の会議は、「内外経済環境の変化に対応した経営者団体の役割」がテーマ。経済のグローバル化やICT(情報通信技術)の進歩を活用し、さらなる成長をいかに達成するか、また競争力をどのように向上させていくかが今日の各国企業の課題となっている中、これに対応するために果たすべき各国経営者団体の役割について活発な議論を行った。

開会式では、モンゴルのエンフバヤル大統領を来賓に迎え、ILO、IOEの代表とともに、主催者である日本経団連を代表して岡村副会長があいさつを行った。エンフバヤル大統領は、1990年以降、民主化・市場経済化が進む中でモンゴルの経済構造はいまだ脆弱ながら、GDPの70%を占める民間部門の発展が重要であると述べた。

会議の冒頭、岡村副会長は、日本経団連がビジネス環境の変化にどのような対応をしているのか、事例報告を中心とする基調スピーチを行った。総合経済団体・経営者団体として、日本経団連が活動の根本に位置づけていることは、ビジネス環境を整備するため、企業や産業が単独ではできない政策提言を行うことであると強調した。また、ビジネス環境の変化の中で企業の直面する課題について、産業界が自らのイニシアチブで適時適切に政策提言を行っている具体例を紹介した。

全体会議では、各国の経営者団体が抱える投資環境整備面での課題や、ビジネスに影響を与えている政治的・社会的問題として、現在どのようなことが挙げられるかについて議論を行った。具体的には、(1)少子化・高齢化などに起因する人口動態の変化への対応(2)労働時間や働き方に関して現在硬直的な労働市場や法制の改革(3)年齢差・性別等によって拡大しつつある所得格差の是正(4)知識社会における学校および企業における教育訓練の充実(5)企業が円滑に事業活動を行う前提となる政治的安定の確立(6)安定した社会を築く上での政府・労働組合等他組織との連携――などの課題が提起された。
全体会議の後、課題ごとにグループに分かれて討議を行い、問題解決に向け各国経営者団体が取るべき行動計画がまとめられた。国によって問題の背景は異なるものの、同じような課題に対して効果的な政策を立案するために、国内外の好事例を調査し、これを経営者団体間で共有・交換することが有効であり、そのためにアジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)など経営者団体間のネットワークを活用していくことが重要であるとの結論に至った。

なお、同サミット開催中の21日に、第5回CAPE総会が開催され、副会長等一部役員の交代、ならびに2005〜07年度の事業計画と予算が承認された。

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アジア太平洋地域経営者団体サミットは、1988年に日経連創立40周年記念事業として東京で開催されたのが端緒。その際に参加者から継続開催の強い要望があったため、以降3年ごとに開催し、今回で7回目となった。

【労政第二本部国際労働担当】
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