日本経団連タイムス No.2827 (2006年8月31日)

日本コロンビア経済委員会06年度総会を開催

−最近のコロンビア情勢と日本の関係/シエラ駐日大使から説明を聴取


日本経団連の日本コロンビア経済委員会(小島順彦委員長)は7月31日、東京・大手町の経団連会館で2006年度総会を開いた。総会では、05年度事業報告・収支決算、06年度事業計画・収支予算が承認されたほか、シエラ駐日コロンビア大使から最近のコロンビア情勢と日本との関係について説明を聴いた。概要は以下のとおり。

ウリベ大統領は国家開発計画を立案し、共同体国家をめざして4つの目的に即して重点的に予算を配分している。第1に民主主義の安定、第2に経済復興、第3に社会復興、第4に行政改革である。民主主義の安定のためになすべきことはまだまだあるが、ウリベ政権が実現した成果は多い。例えばテロ行為の影響を受けた都市の数や凶悪事件の発生件数も02年を境に大幅に減少している。

治安の回復とともに経済は安定した成長を続けている。05年のGDP成長率は5.2%、06年の第1四半期は5.23%を記録した。GDP成長率は他のラテンアメリカ諸国の平均を上回り、05年はメキシコやアルゼンチンを凌駕した。公的部門の財政収支は、03年がGDP比2.7%の赤字であったが、05年には均衡した。これは税収の増加と地方交付金の見直し、年金制度改革などによる。インフレ率は99年以降1ケタ台にとどまっており、05年は4.9%、06年は現時点で05年よりも低い水準で推移している。こうした良好な経済指標によって、コロンビアに対する国際社会の信頼感も高まっており、ウリベ政権になってから民間投資、公共投資ともに増加している。
国に対する信頼感が高まることによって、官民による投資が増加するという好循環が起きている。好調な経済は海外からの直接投資にも良い刺激となっており、05年には100億ドルと記録的な数字を達成した。これは97年以降で最大である。国別では米国、スペイン、英国、パナマなどが多く、日本は「その他」の項目に含まれているが、今後は大幅に伸びることを期待している。なお、海外直接投資のGDPに対する比率をみると、コロンビアは22.3%とラテンアメリカ諸国では第3位である。また、輸出も好調で、05年には211億9000万ドルを記録し、02年比で76.9%伸びている。伝統的な石油、コーヒー、ニッケルなどに加えて、衣料、農産加工品、切り花などが増えている。

治安が回復し、経済指標が良好であることから、02年から05年の間で190万人の新規雇用が創出された。失業率は02年の15.7%から05年は11.8%、06年5月は11.5%へと改善している。貧困層の占める割合は、02年の57%から05年の49.2%へと低下し、230万人が貧困状態から脱した。また、極貧層も同様に減少しており、02年の20.7%が05年には14.7%になった。国としての競争力は、スイスの国際経営開発研究所(IMD)の「国際競争力年報2006年版」によれば、前年の47位から40位となり、ラテンアメリカ諸国では24位のチリに次ぐ。
民主主義を確立し、治安を回復することによって、コロンビアに対する国際社会の信頼感は増している。米国とのFTAが発効すると、コロンビア製品の99.8%が関税なしで米国市場にアクセスできるようになり、対コロンビア投資もさらに増加するだろう。

【国際第二本部中南米・中東・アフリカ担当】
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