日本経団連タイムス No.2833 (2006年10月12日)

「外国人材受入問題に関する部会」が第1回会合

−木村衆議院議員から与党の取り組み状況と今後の対応を聴く


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は9月21日、産業問題委員会の下に新設した「外国人材受入問題に関する部会」(島上清明部会長)の第1回会合を開催した。当日は来賓の木村義雄衆議院議員・自民党外国人労働者等特別委員長から外国人材受入に向けた与党における取り組みの状況と今後の課題について説明を聴くとともに、今後の部会の方針等について検討した。

【部会設立の趣旨】

日本経団連では、2004年4月に「外国人受け入れ問題に関する提言」を取りまとめ、外国人が有する多様なノウハウを活かすことで、国民1人ひとりの「付加価値的創造力」を高めていくという観点から、専門的・技術的分野における外国人材の在留資格の拡大や外国人研修・技能実習制度の改善、外国人の就労・在留管理の改善の必要性等について提言を行った。部会では、同提言をフォローアップしつつ、ASEAN諸国との経済連携協定(EPA)交渉等を通じて新たに浮上した論点をも踏まえ、特に重点的に取り組むべき論点について再度提言を行う予定である。

【木村義雄衆議院議員説明要旨】

自民党では7月18日、中間報告「外国人労働者に関する方針について」を取りまとめた。取りまとめに際しては、日本経団連の提言を最大限取り入れるようにした。労働需給のミスマッチにより中小企業が人手不足に直面していること、先進国の多くでは介護・看護分野で外国人に門戸を開いていること等を考えれば、わが国としても外国人材の受入について前向きに検討すべき時機に来ている。もちろん、高齢者や女性の雇用促進、ニート・フリーター対策が重要であるが、それだけでは問題は解決されない。
外国人材問題はとかくチープレーバーや人権問題と結び付けられやすいが、外国人材を地域社会の一員として受け入れ、喜んで働き、喜んで帰ってもらうというのが本来の姿である。

中間報告の主なポイントは、留学生の就職支援、技能実習の延長(再実習)、母国語の教育、年金問題等である。外国人材の子弟に対する母国語教育は、本国に帰ったときに困らないようにするという点で日本語教育と同様に重要である。語学教育にはODAをはじめ、公的資金を投入していくべきである。

また中間報告では、単純労働者の受入と区別した形で、在留資格の整備、新たな受入制度の創設等を検討する旨述べている。すなわち、労働力不足が生じている分野等でより柔軟に外国人材を受け入れることを念頭においている。現行の外国人研修・技能実習制度では、研修1年と技能実習2年の合計3年間の在留が認められているが、これに加えて再実習(2年)を制度化することで、最大5年の在留を可能とすべきである。また、「技能」の在留資格で就労できる範囲の拡大も図りたい。

外国人材を受け入れる以上、在留管理の徹底が必要である。中間報告では外国人登録法の見直しや、外国人雇用状況報告の義務化等に言及している。本件について、産業界としても、在留管理についてどのような協力ができるのか明らかにしてほしい。外国人材受入は省庁間連携で行う必要があり、組織体制のあり方についても検討していく必要がある。

【産業第一本部産業基盤担当】
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