日本経団連タイムス No.2835 (2006年10月26日)

自民党首脳と懇談

−当面の重要政策で意見交換


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は13日、都内で自由民主党首脳との懇談会を開催した。自民党側からは、中川秀直幹事長、丹羽雄哉総務会長、中川昭一政務調査会長、青木幹雄参議院議員総会長、片山虎之助参議院幹事長ら8名、日本経団連側は御手洗会長、西室泰三評議員会議長をはじめとする19名が参加。今回の会合は、安倍晋三総理・総裁が就任し、自民党が新体制になってから初めての会合となる。

御手洗会長「スピード感もって改革を」

冒頭のあいさつで、御手洗会長は、安倍総理が国会での所信表明演説で日本経済の成長実現のために改革への強い決意を示したこと、就任直後の8、9日に中国、韓国との首脳会談を実現し、関係改善に向けた大きな一歩を踏み出したこと、北朝鮮の核実験問題についても関係各国と連携し、機敏かつ適切な措置を取ったことなどを挙げ、安倍政権に対して「スムーズかつ素晴らしいスタートを切られた。自民党首脳もがっちりとバックアップされている」と高く評価した。

また、「日本が本当の意味で構造改革を成し遂げ、『希望の国』を実現するためには、長期安定政権が必要であり、今後とも自民党執行部を中心に一致団結し、スピード感をもって改革を進めてほしい」と申し入れ、「日本経団連も政治とともに改革を推進する『車の両輪』として全面的に協力したい」と述べた。これに応えてあいさつした中川秀直幹事長は、冒頭、日本経団連が9月25日に発表した2006年政策評価9月28日号既報)について触れ、「自民党が政治主導で改革を進めていることについて、高く評価していただいた。政策本位の政治が定着しつつある」と発言した。
また、「安倍総理は総裁選の政権構想でアジア重視の外交方針を掲げたが、その後すぐに日中、日韓首脳会談を実現するなど、約束を守る人である。自民党としても公約の実現が最も重要である。さらに改革に取り組んでいきたい」と表明した。その上で「これからの改革は、官の発想では難しい。民間の知恵が必要だ」と日本経団連の政策提言に強い期待を示した。

続いて、中川昭一政調会長から、当面の重要政策課題について説明があり、イノベーションの創出、FTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)の推進、アメリカとの経済関係、歳出歳入一体改革、道州制、教育再生などへの自民党の考え方について紹介がなされた。
特に、国際経済関係については、既設の「FTA・EPAに関する特命委員会」を改組して「国際経済戦略特命委員会(仮称)」とし、WTOドーハラウンド、FTA・EPAなどの通商交渉の進展と、そのためのわが国のODA(政府開発援助)の戦略的重点化についても、政調会長直轄の問題として、党内で組織横断的に検討していきたいとの説明があった。

その後は、日本経団連側から、歳出歳入一体改革および社会保障制度改革の推進、科学技術への予算の重点配分、EPAの推進、新会社法により創設された三角合併制度への慎重な対応、日本経団連の政治への取り組みなどについて意見・要望を伝え、これに自民党幹部が応える形で、活発な意見交換が行われた。

【社会第二本部政治担当】
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