日本経団連タイムス No.2835 (2006年10月26日)

テュズメン・トルコ国務大臣(貿易担当)と懇談

−対日輸出増へ支援を/テュズメン大臣、投資拡大も求める


日本経団連は12日、東京・大手町の経団連会館でトルコ共和国キュルシャッド・テュズメン国務大臣(貿易担当)との懇談会を開催、日本経団連からは梅田貞夫日本トルコ経済委員会委員長らが出席した。梅田委員長のあいさつに続き、テュズメン大臣、アルトゥンヤルトゥズ貿易局次長が「トルコ経済と日本・トルコ関係」について講演した。概要は次のとおり。

テュズメン国務大臣

日本とトルコの政治・経済関係は、目覚ましい進歩と変化を遂げている。両国の貿易関係も急速に緊密化しており、輸出入合計は2002年の約17億8000万ドルから05年は約33億ドルと、90%近く増加した。
しかし、トルコ経済の成長や良好な政治関係からみると、日ト経済関係はその潜在力を十分に発揮していない。日本の年間輸出(20兆円)に占める対トルコ輸出は2000億円に過ぎず、日本人の年間海外旅行客1700万人のうち、トルコへの観光客はわずか15万人である。またトルコへ進出した日本企業は150社、日本からトルコへの投資総額は5億ドル程度にとどまっている。
トルコの製造業の質は高く、世界的に高品質を誇る繊維・衣料・履物製品をはじめ、EUでは消費者家電の3分の1がトルコ製である。また、トルコは4万トン以下の造船業を得意としており、4万トン超を主力とする日本とは相互補完性を有している。

日ト間の貿易額をみると、圧倒的に日本の輸出超過となっている。この差を縮め、両国がウィン・ウィンの関係を構築するには、従来から対日輸出の中心を占める1次産品だけでなく、ハイテク・IT製品等の輸出を増やす必要がある。また、日本では食品の安全に関する規制が厳格で、EUですら受け入れている野菜・果物等が輸出できない。こうした品目の対日輸出増加のため、日本の経済界の支援をお願いするとともに、トルコへの投資も一層拡大してほしい。今後も日本とより緊密に協力し、両国経済の発展につなげたい。

アルトゥンヤルトゥズ貿易局次長

自由化・多角化に向けた改革努力により、トルコ経済は持続的成長基盤が形成されており、今後とも改革を継続していく。改革の結果、トルコの輸出額は1979年の29億ドルから、05年に730億ドルに増加、輸出額のうち83.9%を鉱工業品が占めている。
また、トルコは海外投資家に対して安全で良好な投資環境を整備している。欧州・アジア・中東にまたがる10億人の市場の中央に位置するという地理的条件のほか、EUと関税同盟を締結、相互に関税が撤廃されている。
さらに今後、政府の投資促進プログラムにより、投資事業の一層の円滑化を図る予定である。日本からは、自動車・自動車部品分野をはじめ多くの企業から投資が行われており、今後も増加を期待している。

日ト貿易の現状は、日本からトルコへの輸出は31億ドル、トルコから日本への輸出は2億ドルと不均衡が生じている。トルコの産業には、食品・加工業のほか、自動車・機械機器、鉄鋼、エレクトロニクスなど、高い競争力を有する分野が存在している。また、日ト間で合弁事業が進められている建設分野のほか、ガラス製品、天然石・宝石、皮革製品、繊維なども有望であり、さまざまな分野での対日輸出増加に協力をお願いしたい。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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