日本経団連タイムス No.2837 (2006年11月16日)

第6回企業倫理担当者研修会開催

−会員企業から56名参加、説明を受け活発に質疑/コンプライアンス確立の具体的取り組みなど


日本経団連は9、10の両日、静岡・小山町の経団連ゲストハウスにおいて「第6回企業倫理担当者研修会」を開催、会員企業から56名が参加した。同研修会は、2003年以来、ほぼ年1回のペースで開催してきたが、今年は9月21、22日に第5回研修会を開催した際、案内後約1週間でキャンセル待ちが出るなど盛況であったため、今般、第5回研修会と同一プログラムで再度開催することになったものである。
研修会では、3名の講師からそれぞれ説明を受けるとともに、活発な質疑を行った。

桜木君枝・ベネッセコーポレーション常勤監査役からは、「経営倫理推進上の課題」をテーマにコーポレートガバナンス、コンプライアンス、企業倫理、CSRなどの用語の整理や、企業に課された社会的な課題の洗い出しが行われ、一部については解決策が提示された。
浅見隆行弁護士(中島経営法律事務所パートナー)からは、「公益通報者保護法の施行と、ヘルプラインの設計と運用」と題して、今年4月に本格施行された公益通報者保護法に積極的に対応するための社内体制構築の実例と、対応実務に関する具体的アドバイスを得た。
川内厚・三菱自動車工業CSR推進本部コンプライアンス部長からは、「コンプライアンス確立に向けた取り組み」と題して、2度のリコール隠しを克服し、社内のモラルとコンプライアンスを再度確立するまでの具体的な取り組みと現状の課題について、説明を受けた。

その後、横田祐次・新日本インテグリティアシュアランス取締役から、ケーススタディ(過去事例に基づく討議)の実践指導を受けた。具体的には、ケーススタディの意義と目的、企業倫理浸透効果の解説などを受けた後、特定の事例に関する原因究明と改善策の提示を行うためのグループ討議を行い、結果を発表した。さらに社内で不正を発見し対応するための手法などについても説明を受けた。

参加者から高評価得る

プログラム外でも、初日プログラム終了後の懇親会などを通じて、企業倫理担当者間のネットワークづくりが図られた。各社の企業倫理担当者は、社会的規範を率先して順守する立場にあるため、積極的に社外へのネットワークを展開することには限界を感じているケースが多い。参加者からは、異なる企業の担当者間で同じ悩みをシェアすることや、協同して問題の解決の糸口を探ることが可能となり、有意義だったとの声が多くあった。

なお、今回の研修に対して、参加者からはおおむね高評価であったが、ケーススタディについては、十分な検討を行うには時間が不十分であるとの指摘があった。
現在、事務局では、今次研修会でも出たキャンセル待ちに対応するため、来年2月に再度研修会を開催する方向で調整しているが、その際は、プログラムの構成から見直して、会員各位のニーズに積極的に応えていきたいと考えている。

【社会第二本部企業倫理担当】
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