日本経団連タイムス No.2840 (2006年12月12日)

韓国・全経連首脳と懇談

−盧武鉉大統領を表敬訪問/日韓FTA交渉再開へ意見交換


日本経団連は11月23日、韓国・ソウルで全国経済人連合会(全経連)との首脳懇談会を開催した。翌24日には青瓦台に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領を訪問し、FTA交渉の再開など、日韓関係全般に関し懇談した。今回で22回目を数える会合には、日本経団連側から御手洗冨士夫会長をはじめ12名が、全経連側からは姜信浩(カン・シノ)会長、趙錫来(チョウ・ソンネ)副会長ら15名が参加し、「世界経済の環境変化と日韓両国の対応」と「グローバル経済の進展と日韓産業協力」をテーマに意見交換を行った。

日韓FTAの早期締結を再確認

御手洗会長と姜会長はともに開会あいさつで、日韓FTAの早期締結に向けて早急に交渉を再開することを強調、続いて行われた意見交換でも、両国経済人からFTA交渉再開に向けて両政府に強く働きかけていくことで意見が一致した。
第1セッションでは、BRICsをはじめとする新興工業国の台頭が東アジアに与える影響と、その対応について議論が行われた。
全経連の玄在賢(ヒョン・ジェヒョン)副会長からは、韓国の輸出、投資ともに中国に一極集中しているリスクと、中国、インド、ロシアが資源輸出国から輸入国に変わり、資源確保が難しくなっている状況の説明があった。
宮原賢次副会長からは、中国、インド、ASEANでそれぞれ1億人の「中間層」が生まれ、計3億人もの巨大なマーケットがアジアに出現し、このマーケットを狙った投資がアジア全域の貿易構造を大きく変えていること、また世界的に資源価格が高騰している中で、資源確保の一環としてマダガスカルのニッケル・コバルト鉱山で、日韓の産業協力が進行しつつある事例の報告があった。

環境・省エネに関し懇談

第2セッションでは、日韓が協力して取り組むべき課題として、昨今関心が高まっている環境・省エネ分野と、日韓中の観光協力について意見交換した。
環境分野では、大橋光夫評議員会副議長から、今後、アジア諸国の石油化学品の需要が増大することが期待されるが、いたずらに規模の拡大を追求するのではなく、日韓は省資源・省エネに留意しつつ高機能素材・材料の開発に専念すべきだとの提案があった。
鮫島章男環境安全委員会共同委員長からは、セメント業界が地球温暖化対策として取り組んでいる「アジア太平洋パートナーシップ」について紹介があった。

観光協力について議論を深める

観光分野では、昨年の懇談会で提案され、今年9月に実現した観光協力会議を踏まえて、宇佐美皓司観光委員会企画部会長が、観光分野で今後ますます重要性を増していく日韓中の連携について、共同で検討していきたいという報告があった。
また、大橋洋治経済連携推進委員会共同委員長と全経連の朴三求(パク・サムグ)副会長から、日韓中の人の往来・観光をより活発化させるため、羽田、金浦間に加え、上海の虹橋と羽田、金浦間でシャトル便の早期運行をぜひ実現したいとの発言があった。

盧武鉉大統領と懇談

翌24日に行われた盧武鉉大統領との懇談では、冒頭、大統領から御手洗会長に対し、日本経団連会長就任のお祝いの言葉があり、続いて「日韓関係は重要であり、日韓経済がさらに緊密化することを望んでいる」との発言があった。
日本側代表団からは、日韓FTAの重要性を強調し、中断している交渉の早期再開を要請した。これに対して盧武鉉大統領は、日本側の農水産物の自由化レベルが低いことに言及するとともに、韓国側にとって日韓FTAは経済問題だけでなく、日韓関係全般を勘案して推進すべきであるとの指摘があった。

【国際第二本部アジア担当】
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