日本経団連タイムス No.2840 (2006年12月12日)

第297回ILO理事会開催

−2007年総会の日程など協議


国際労働機関(ILO)の第297回理事会が11月2日から17日の日程で、ジュネーブで開催された。

ILOの構成員(各国政労使)の間では、政策決定機関である年次総会と理事会をいかに効率的に運営していくかが共通課題として認識されている。今回の理事会では特に総会改革について討議を行った。その結果、試行的ではあるものの、2007年の総会においては、3週間の会期のうち、最初の2週間は労働基準作成など技術的議題の作業に当て、残り1週間を政策的な議論に当てることが決定した。

現在ILOは、既存の「労働安全衛生マネジメント・システム・ガイドライン」(ILO OSHMS2001)について、ISO(国際標準化機構)から細則策定に関する協力の申し出を受けている。今回の理事会においてISOとの協力の是非が議論されたが、結論には至らず、次回来年3月の理事会において再び議論を行うこととし、少なくともそれまではISOとの連携は行わないことが決まった。

今年6月の総会において、石綿の将来的な使用禁止やILOのがん条約および石綿条約批准促進などを内容とする「石綿に関する決議」が採択された。これに対して使用者側は、石綿に関する専門家が議論に加わっていないことなどを理由に反対した。今回の理事会では同決議内容の促進について議論を行った。使用者側は、他の石綿に関するILO文書との関係において、同決議をどのように取り扱うか明確にすべきであることなどを主張した。本件については、引き続き来年3月の理事会において議論される。

長年にわたって強制労働が問題になっているミャンマーに関して、今回の理事会でも議論が行われた。6月の総会において、ミャンマー政府に対し、強制労働に関する国内の苦情申し立て処理制度整備を呼びかけたが、これが達成されなかったため理事会は不満を表明した。理事会は、最優先の緊急事項として制度整備に取り組むことをミャンマー政府に要求するとともに、来年3月の理事会では国際司法裁判所の関与を含む新たな解決策も視野に入れて、再び討議を行うことを決定した。

なお、ILO理事会会期中の11月9日に、アジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)の理事会がジュネーブで開催され、他団体との交流状況などの報告とともに、7月にモンゴルで開催された「アジア太平洋経営者団体サミット」で導き出された結論のフォローアップなどについて議論を行った。

【労政第二本部国際労働担当】
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