日本経団連タイムス No.2841 (2007年1月1日)

新ビジョン「希望の国、日本」発表

−今後10年間を視野に入れ、めざすべき具体像を描く


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は1日、「希望の国、日本」と題する新しいビジョンを発表した。ビジョンでは、今後10年間を視野に入れ、日本がめざすべき「希望の国」の姿を具体的に描いている。その上で、日本を「希望の国」とするために何をなすべきか、その実現に向けたロードマップを、政策分野ごとに整理して取りまとめた。
今後、日本経団連は、関連する各委員会において、ビジョンで示された政策課題の具体的な制度設計や関係方面への働きかけなどを行い、「希望の国」の実現に向けて、全力を挙げて取り組んでいく。
新ビジョンの概要は、次のとおり。

1.はじめに

日本経済は、民間企業の自助努力と政府の構造改革の進展などにより、本来の力強さを取り戻しつつある。経団連は、科学技術を基点とするイノベーションとともに、経済や社会のシステムなどの変革(広義のイノベーション)に果敢に取り組み、「希望の国」の実現をめざす。
弊害を重視するあまりに改革の歩みを緩めてはならない。改革を徹底し、成長の果実によって弊害を克服する、という成長重視の政策選択が不可欠である。

2.めざす国のかたち

ビジョンでめざす「希望の国」の国柄は、次の3点である。

(1)精神面を含め、より豊かな生活

確かな成長に支えられ、人々は安心とゆとりのある生活を送っている。自主・自立の精神に基づいて選択・行動する自由が保障されるとともに、社会の絆が強まっている。また、道州制の導入により活力ある地方広域経済圏が成立している。

(2)開かれた機会、公正な競争に支えられた社会

すべての人に公平にチャレンジの機会が開かれている。公正な競争の結果としての格差は経済活力の源泉として許容される。本人の努力では解消できない経済的、社会的格差を固定化させないための、再チャレンジの仕組みが用意されている。

(3)世界から尊敬され、親しみを持たれる国

環境・エネルギー問題や貧困などの世界的な課題解決のため、日本が優れた技術力などによって積極的に取り組み、世界の繁栄に貢献し、尊敬と親しみを寄せられている。世界の平和と安定のため、国際安全保障環境の改善にも努力している。

3.2015年の日本の経済

ビジョンで掲げた改革を着実に推進することにより、次のような経済・財政の姿を描くことが可能となる。

(1)日本型成長モデルの確立

イノベーションの推進、EPA(経済連携協定)の締結、地方広域経済圏の形成、労働市場改革などにより、2006〜2015年の間、実質で年平均2.2%、名目で3.3%の成長を実現する。1人当たり国民所得は、2005年に比べ約3割増加する。

(2)財政健全化の実現

歳出・歳入改革を着実に進めることにより、2015年までには、国・地方それぞれについて、政府債務残高対GDP比を安定的に低下させることを可能とするプライマリーバランスの黒字幅が確保される。その間の潜在国民負担率も50%未満の水準で推移する。

4.「希望の国」の実現に向けた優先課題

概要図参照 <PDF>

【経済第一本部】
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