日本経団連タイムス No.2843 (2007年1月18日)

日本経団連労使フォーラム開催

−「企業価値向上への挑戦」で論議


日本経団連は11、12の両日、都内で「第109回日本経団連労使フォーラム」を開催した。全国の経営トップや人事・労務担当者など約470名が参加した今回のフォーラムでは、「企業価値向上への挑戦〜人と組織のあり方を見直す〜」を総合テーマに、新たな人事戦略や今次の春季労使交渉における課題・対応策などを探った。

1日目は、まず御手洗冨士夫日本経団連会長が、開会あいさつと基調講演(要旨別掲)を行った。

続いて湯元健治日本総合研究所調査部長・チーフエコノミストが「新たな成長に挑戦する日本経済」と題して講演、(1)アメリカ、中国の経済情勢や、原油価格はどうなるか(2)個人消費は盛り上がりをみせるか(3)小泉構造改革路線を引き継いだ安倍政権の成長戦略・政策は有効に機能するか――などさまざまな視点から今年の日本経済の動向を予測し、「基本的には日本経済の着実な成長は十分見込めるのではないか」との見方を示した。

紀陸孝日本経団連専務理事の解説「2007年版『経営労働政策委員会報告』のポイント」に続いて「企業の未来像を描く」をテーマに行われた鼎談では、岡村正東芝会長(日本経団連副会長・経営労働政策委員長)、加藤丈夫富士電機ホールディングス相談役(日本経団連労使関係委員長)、伊丹敬之一橋大学大学院商学研究科教授が、イノベーションを推進し、グローバル化に対応するためには企業とそこで働く個人はどうあるべきかなどについて話し合った。

1日目の最後は、高木剛日本労働組合総連合会(連合)会長が「2007年―労働組合の役割と課題」と題して講演を行った。高木会長は“2007春季生活闘争”の課題や「ワークルール」などについての連合の考え方を説明した。

2日目は「2007年への展望―世界の潮流と日本の進路を考える」をテーマに寺島実郎三井物産常務執行役員・戦略研究所所長が特別講演を行った。この中で寺島氏は、世界の潮流について、世界経済においてはかつてなかった「高成長の同時化」が持続する状況にあることや、「脱9・11」へのパラダイム転換が進んでいることを指摘。また日本は「マネーゲーム資本主義」でなく、ものつくりと産業技術力を重視する「育てる資本主義」を選択するべきだと主張した。

続くパネル討論にはパネリストとして、山崎啓二郎キヤノン取締役人事本部長、大矢和子資生堂執行役員企業文化部長、福島伸一松下電器産業常務取締役が参加。法政大学大学院教授の藤村博之氏をコーディネーターに「多様な働き方をめぐって」をテーマに、現場における多様性への対応や、ワーク・ライフ・バランスのあり方などについて話し合った。

産別労組リーダーによる講演では、加藤裕治自動車総連会長、落合清四UIゼンセン同盟会長が「今次労使交渉に臨む方針」を説明。続く企業労務担当役員による講演では、小澤哲トヨタ自動車常務役員、河西晋二郎日立製作所執行役常務が経営側としての「今次労使交渉に臨む方針」を明らかにした。

【事業サービス本部研修担当】
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