日本経団連タイムス No.2845 (2007年2月1日)

菅総務相らとの懇談会を開催

−行政改革や地方分権、情報通信産業の競争力強化等で意見交換


日本経団連は1月24日、都内で菅義偉総務大臣をはじめとする総務省幹部との懇談会を開催した。日本経団連からは御手洗冨士夫会長、宮原賢次副会長、出井伸之副会長ら12名が、総務省からは菅大臣のほか、大野松茂副大臣、田村憲久副大臣ら15名が出席した。

会合の冒頭、あいさつした菅大臣は、総務省が担当する行政改革や地方分権、情報通信産業の国際競争力強化について、同省の取り組み状況を概括的に紹介した。一方、御手洗会長は、日本経団連の新ビジョン「希望の国、日本」の内容を紹介するとともに、「希望の国」の実現に向けて総務省とも連携をとっていきたいと述べた。
続いて、行政改革、地方分権、情報通信といった個別のテーマごとに意見交換が行われた。

行政改革については、まず総務省の石田直裕行政管理局長が、昨年5月に成立した行政改革推進法に掲げられている課題のうち、主に総人件費改革(特に国の行政機関の定員純減)に対する総務省の取り組みを紹介した。
日本経団連からは、出井副会長・行政改革推進委員長が、2005年4月の日本経団連提言「さらなる行政改革の推進に向けて」<PDF>を紹介し、日本が今後も国家としての競争力を強化するために、縦割り行政の排除や官民のイコールフッティングの実現、競争原理の導入による公務部門の活性化などの諸課題に取り組むよう求めた。
これに対して総務省の戸谷好秀人事・恩給局長から、公務員への新たな人事評価の導入や官民交流の促進に向けた取り組み状況について説明があった。

次に、日本経団連の大橋光夫税制委員会共同委員長が、現在の地方税をめぐる問題点を指摘。産業の国際競争力強化や国と地方の財政健全化には税制面の改革も必要であり、総務省と連携を図りたいと発言した。続いて大久保尚武行政改革推進委員会共同委員長が、地方の自立と発展のために、地方分権改革によって「国から地方へ」と統治システムを変革すべきと発言。地方分権と、国・地方を通じた簡素かつ効率的な行政体制構築のため、道州制の導入を進めるべきと述べた。
総務省側は、藤井昭夫自治行政局長が、先の国会で成立した地方分権改革推進法の概要と同法に基づく政府の今後の取り組み、地方行革の現状等について説明。地方税については、河野栄自治税務局長から、国と地方の税収比と歳出からみた仕事量の比の乖離を是正すべく、税源配分の見直しを行っていくとの説明があった。また、地域による偏在度の小さい地方税体系を構築するため、税収の偏りが小さい税目の充実を図るとの発言があった。

情報通信に関しては、情報通信産業の国際競争力強化のために設置された「ICT国際競争力懇談会」が1月22日に発表した「中間とりまとめ」について、総務省の寺明政策統括官が説明。政府として今後2年間を「ICT国際競争力強化年間」と位置付け、2011年までにICT産業の国際競争力強化を実現すると述べた。一方、日本経団連側は石原邦夫情報通信委員会共同委員長が発言し、同中間とりまとめを高く評価するとともに、国際標準やIT高度人材育成の重要性について改めて言及、今後とも総務省と連携したいと述べた。

意見交換に続いて行われた自由懇談では、法人税負担や雇用創出をめぐる問題、地方分権の推進などについて、副大臣や大臣政務官、御手洗会長から発言があった。
最後に、菅大臣が、「美しい国」を標榜する安倍内閣は、同時に「新しい国のかたち」をつくる内閣でもあり、そのひとつが道州制であると発言。御手洗会長も、これまでのパラダイムを変革して新しい日本型成長モデルをつくるためにも、道州制を導入して広域経済圏を構築する必要があると述べた。

【産業第一本部行革担当】
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