日本経団連タイムス No.2846 (2007年2月8日)

06年度「新卒者採用に関するアンケート調査」集計結果発表

−「昨年度に比べて売り手市場」過去最高/多様な人材の確保へ特徴ある採用形態・手法が定着


日本経団連は2日、2006年度の「新卒者採用に関するアンケート調査」の集計結果を発表した。これによると、06年度の就職・採用市場を売り手市場と評価する企業が過去最高となったことや、多様な人材を確保するため、特徴ある採用形態・手法が多くの企業で定着していることなどがわかった。同調査結果の概要は次のとおり。

■採用を実施した企業・採用人数が増加した企業ともに過去最高

06年度に採用活動を実施した企業の割合は94.4%(前年度91.2%)、このうち、採用人数が前年度より増加した企業は55.4%(同53.9%)となり、過去最高となった。
「事業拡大に伴って、人材を確保」「団塊世代の退職に備えて、採用枠を拡大」など、企業の採用意欲は高まっているものの、採用予定数を100%充足した企業の割合は53.5%(同52.6%)にとどまっており、多くの企業が人材獲得に苦戦したようである。
また、07年度の採用活動については、採用活動を実施予定である企業の割合が90.5%(同86.3%)と、9割を超えている。このうち、採用予定人数を増加する企業は24.5%、06年度と同水準の人数を採用予定が71.4%となっている。

■「昨年度に比べて売り手市場」との回答が過去最高

06年度の就職・採用市場に対する採用担当者の評価については、「昨年度に比べて売り手市場であった」との回答が88.6%(同74.8%)と過去最高を記録した。
内々定を出した学生の辞退率は上がっており、「辞退率0%」が7.8%(同13.7%)、「10%程度」が21.6%(同27.6%)、「20%程度」が19.1%(同18.5%)、「30%程度」が23.6%(同16.8%)、「40%程度」が16.7%(同12.6%)、「50%以上」が11.2%(同10.8%)となっている。
また、採用内定者に対する採用担当者の評価は、「従来より良い人材が採用できた」との回答が20.1%、「従来と変わらなかった」が71.6%となっている。

■多様な人材を確保するため、特徴ある採用形態・手法が定着

多様な人材を発掘・確保するために、多くの企業が特徴ある採用形態や手法を導入し、これらが定着している。
今回、説明会・選考会を複数回実施した企業の割合は90.0%(同86.5%)に上り、「効果があった」と評価する企業は94.1%(同89.7%)となった。
オープンエントリー(公募制)を行った企業の割合は85.2%であり、「効果があった」と評価する企業は85.5%であった。また、海外大学卒業者の採用については、採用を行った企業の割合が25.7%(同20.5%)と、過去最高となっている。
通年採用を行った企業は38.3%となっており、その内訳は「既に導入している」が32.0%、「今年度から導入した」が6.3%となっている。このうち、「年間を通しての随時採用」は47.7%、「春季一括採用に秋季採用を追加」した企業は43.9%であり、通年採用を導入して「効果があった」との回答が83.3%に上っている。
他方、学生の就職機会の均等を期し、落ち着いて就職活動に臨むことなどを目的に、選考プロセスを「事前に開示した」企業は85.7%(同79.7%)と8割を大きく上回り、実施企業の約半数(53.7%)がその効果を認めている。「学生に安心感を与えるとともに、会社への信頼性が高まった」「採用活動を円滑に進めることができた」などの効果が挙げられている。

「コミュニケーション能力」最重視

■最も重視する要素は4年連続で「コミュニケーション能力」

企業が採用選考時に重視する要素の上位項目(複数回答)は、第1位「コミュニケーション能力」(81.7%)、第2位「チャレンジ精神」(53.7%)、第3位「協調性」(53.0%)、第4位「主体性」(49.6%)、第5位「誠実性」(36.1%)と、「コミュニケーション能力」を最も重視する傾向が続いている。

■ミスマッチを防ぐ有効な手段であるインターンシップ制度が普及・拡大

同調査では、新卒者採用に関連する事項として、就職におけるミスマッチを防ぐ有効な手段であるインターンシップ制度についても調査している。
今回、インターンシップ制度を「評価する」との回答が5割を超えた(51.3%)。インターンシップへの協力要請に対しては、「学生を既に受け入れている」は53.6%(同44.4%)、「学生を受け入れる方向で検討したい」は18.7%(同21.3%)となり、両者を合わせると7割を超えている。

◇ ◇ ◇

同調査は就職協定が廃止された1997年から、大学・短大等の新卒者採用活動の実態を把握するために、無記名アンケート形式で毎年実施しているもの。今回の調査は、調査対象を日本経団連・東京経営者協会の会員企業から日本経団連企業会員のみに変更。1338社を対象に実施し、602社から回答を得た(有効回答率45.0%)。回答企業の内訳は、製造業が46.2%、非製造業が53.8%で、従業員規模別では、1000人以上が71.3%、1000人未満が28.7%となっている。

【労政第一本部雇用管理担当】
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