日本経団連タイムス No.2849 (2007年3月1日)

クラウス・チェコ大統領との懇談会開催

−人材育成の重要性などで意見を交換


日本経団連は2月13日、東京・大手町の経団連会館にチェコ共和国のヴァーツラフ・クラウス大統領を迎え、米倉弘昌副会長、佐々木元ヨーロッパ地域委員会共同委員長が懇談するとともに、昼食懇談会には約30社の代表が出席した。

あいさつしたクラウス大統領はまず、今回の訪日は、政治、経済両面で日本とチェコの関係が順調に推移していることを象徴するものだと述べた。その上で、前回首相として来日した1996年からの10年間で、チェコに進出している日本企業は49社から182社に増え、今や日本はドイツに次いで2番目の対チェコ投資国となっていると説明した。
クラウス大統領は、2004年のEU加盟によってチェコの潜在的な魅力が発揮できるようになったとし、熟練労働力を合理的なコストで活用できることなど、他国に劣らないビジネス環境を提供できると強調した。また、チェコ・ビジネス・投資開発庁やチェコ観光局が日本に代表を置き、チェコへの投資、観光に関する情報を提供していることを紹介、これらをぜひ活用してほしいと述べた。

日本経団連側からは、冒頭、佐々木共同委員長から、現在両国政府間で予備協議中の社会保障協定について、大統領の配慮を求めた。また、その後行われた参加者との懇談においては、現地進出企業から、人材の確保が難しくなっていることから、産学連携などの奨励による人材の育成の重要性について意見があった。また、チェコ・コルナ高が進出企業およびチェコ製造業の国際競争力にマイナスの影響を与えていることから、為替レートの安定が必要との指摘があった。

これに対し、クラウス大統領は、社会保障協定の問題については十分認識しており、全力を挙げて努力したいと述べた。また人材については、共産主義の時代とは異なり、69年のビロード革命後は、文科系への進学者が増え、相対的に理系の学生が減ったと分析した。またチェコの大学では長い間、産学の連携が行われてこなかったため、今後はその点も考えて対策を講じていくことが必要との認識を示した。さらに為替レートの問題に関しては、しばらくコルナ高が続くことになるだろうとの見通しを示した。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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