日本経団連タイムス No.2851 (2007年3月15日)

フラトコフ・ロシア首相と懇談

−フラトコフ首相、日本企業の進出に期待感/日ロ経済関係強化を強調


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は2月28日、東京・大手町の経団連会館でロシア連邦のミハイル・エフィーモヴィチ・フラトコフ首相との懇談会を開催、日本経団連からは御手洗会長、西室泰三評議員会議長、西岡喬副会長、和田紀夫副会長、張富士夫副会長、渡文明副会長、安西邦夫日本ロシア経済委員長らが出席した。

あいさつしたフラトコフ首相はまず、ロシア経済の課題として、資源依存型経済からイノベーションを軸とした経済への移行を挙げた。その上で、日本とロシアの経済関係がより補完的なものとなることを期待していると述べ、日ロ経済交流で培われた豊富な経験に基づき、効果的な協力のあり方を共に考えたいと発言した。一方、日本をはじめアジア太平洋地域との協力推進の重要性を指摘し、日ロ間の経済交流の中心となっているエネルギー分野はもちろん、インフラの整備や輸送分野、ハイテク分野などにおける協力の可能性を検討したいとの考えを示した。その上で産業、地域の発展に向けてロシア政府が推進している計画に、日本企業が積極的に参加することへの期待を示した。

またフラトコフ首相に同行したフリスチェンコ産業エネルギー大臣と麻生外務大臣との間では、「貿易経済日露政府間委員会共同議長間会合」が開催され、2003年に調印された日露行動計画の進捗状況や有望プロジェクトの実施の可能性などについて話し合ったと説明。フラトコフ首相自身も、27日に行われた日本政府の閣僚との懇談で、原子力の平和利用、宇宙、情報通信プロジェクト、輸送インフラ整備など、日ロ間における幅広い分野での協力の可能性について、また国際協力銀行とロシア対外経済銀行による大規模なプロジェクト・ファイナンスの可能性について議論したと説明した。

さらに、ロシア政府が極東、東シベリア、ザバイカル地域の開発を非常に重視していることに言及。2012年にはAPEC首脳会議をウラジオストークで開催すべく準備を進めているなど、極東地域の開発に対する予算投入を拡大すると述べるとともに、日本企業による協力にも期待を示した。

その上でフラトコフ首相は、日ロ両国は経済関係を強化すべき時期に来ているとの認識を示し、お互いに自国の発展の機会を逃すべきではないと強調。日本におけるプロジェクトにロシア企業が参加する、あるいは第三国のプロジェクトで日ロ企業が協力することに期待を示した。

また、日本の自動車産業がロシアでのビジネスを軌道に乗せつつあることに触れ、これはロシアの投資環境が改善されつつあることの表れであると説明。その上で日本企業にはより公正で、開放的、かつ効率的な投資環境を提供することを確約すると述べるとともに、「ロシアに投資することはリスクではなく、ロシアに投資しないことがリスクである」という欧米企業による対ロ投資の考え方を紹介した。

続いて行われた懇談では、日本側出席者から、ロシア国内に製造拠点を建設中であるとの発言があった。これに対しフラトコフ首相からは、自動車産業による進出を歓迎していると述べるとともに、今後さらに現地化を進めてほしいとの要望があった。また、太平洋パイプラインの進捗状況について問われたフラトコフ首相は、建設は予定どおり進めると述べた上で、今後新規の油田開発に関する協力の可能性についても模索していきたいと述べた。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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