日本経団連タイムス No.2852 (2007年3月22日)

経済政策委員会統計部会開く

−経済センサス創設に向けた取り組み状況など説明聴取


日本経団連の経済政策委員会統計部会(佐々木常夫部会長)は7日、東京・大手町の経団連会館で、総務省・北田祐幸統計企画管理官、桑原廣美統計審査官から、「経済センサス創設に向けた現在の取り組み状況」および「統計法案のポイント」についての説明を聴取し、意見交換を行った。

まず、桑原統計審査官から、「経済センサス創設に向けた現在の取り組み状況」について説明があった。桑原審査官は第1に、経済センサスの意義について、「同一時点における全産業の経済活動を包括的に把握することにより、GDP推計等の統計精度の向上が期待される。また、既存大規模統計の統廃合、簡素・合理化が進むことにより、記入者負担軽減にもつながる」と述べた。
第2に、経済センサスの概要について、「農林漁家を除くすべての事業所および法人企業を対象とする」「平成21年は、総務省を中心に、行政記録を利用して事業所・法人企業の捕捉に重点を置いた調査を行う。当該調査結果を有効活用し、平成23年には、総務省・経済産業省が中心となって、経理項目の把握に重点を置いた調査を実施する」と説明した。
第3に、調査周期・調査方法について、「平成23年調査を起点に、5年周期で調査を実施する。また、中間年には、経済センサスの枠組みの中で、母集団情報の整備等のための調査を行う」「現行の市区町村を通じた調査員による調査を基本とするが、調査の効率化を図るため、本社等一括調査や郵送・オンラインによる方法も検討している」と述べた。
第4に、経済センサス実施に伴う大規模統計調査との統廃合について、「平成21年および平成23年事業所・企業統計調査、平成21年サービス業基本調査、平成21年商業統計調査は廃止する。工業統計調査については、平成22年を除き毎年実施するが、平成23年以降は全数調査を行わず、標本調査等の可能性を検討し、併せて調査事項の簡素化を図る」と説明した。
加えて、今後の取り組みについて、「調査事項に関して、企業へのヒアリング調査や2002年に調査を実施した米国の例を参考に設計していく」「事業所・企業の的確な捕捉のため、行政記録の活用を進める」「調査への協力を促すため、効果的な広報活動のあり方について検討を深める」との考えを示した。

その後の意見交換では、出席者から、「既存統計との重複是正はもとより、民間統計の活用も考慮すべき」「経済活動の多様化や企業の統廃合による調査客体の連続性に配慮すべき」などの意見が示された。

続いて、北田統計企画管理官から、「統計法案のポイント」について説明があった。まず、「現行の統計法制度を抜本的に改革するための法案を、今国会に提出した」と言及。その上で、「総務大臣が指定した統計を基幹統計として位置付け、作成・公表に関して必要な規定を整備するなど、公的統計の体系的整備を行う」「調査事務の民間委託における信頼性の確保や、匿名性の確保措置を講じた調査票情報(匿名データ)の提供に関する規定を整備する」、全面施行は公布日から2年以内であるが、公布日から6カ月以内に「基本計画案など法律の定める事項について、専門的かつ中立公正な調査審議を行う統計委員会を内閣府に設置する」と説明した。

【経済第一本部経済政策担当】
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