日本経団連タイムス No.2856 (2007年4月19日)

提言「官民協力による若年者雇用対策の充実について」公表

−労働市場のマッチング機能強化などを提案


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は17日、意欲と能力のある若年者の就労を促進し、日本経団連のビジョン「希望の国、日本」が掲げる全員参加型社会の実現につなげるべく、提言「官民協力による若年者雇用対策の充実について―労働市場のマッチング機能強化に向けて―」を公表した。同提言では、企業と政府によるさまざまな取組みを連携させて若年者雇用対策を進め、失業しても労働市場を通じて新たな就労機会を得られる、「循環型の雇用のセーフティネット」を構築すべきとしている。
同提言の概要は次のとおり。

1.企業の取組み

まず求められるのは、企業の自主的な取組みである。
企業は、求職者の潜在能力や適性なども適切に評価し、おのおのの実情に即して、意欲のある若年者に就労機会を提供すべきである。そうした人物本位の採用を進めるためにも、年齢等に偏重した処遇制度から「仕事・役割・貢献度」を基軸とした処遇制度への見直しや、いわゆる正社員への登用の仕組みの整備も選択肢の1つとして検討していくべきである。求人情報の信頼性の確保も必要である。
また、企業は求職者の適性や能力を見極めるために、トライアル雇用や実践型人材養成システムなどを活用すべきである。現在、政府が「成長力底上げ戦略」の一環として検討している「ジョブ・カード制度」に対しても、実情に応じて、訓練の受け入れなどに協力すべきである。
さらにインターンシップ受け入れへの積極的な協力はもとより、職業観醸成のための授業や教職員の民間企業研修にも、各企業の実情に応じて、前向きに協力していくことが必要である。

2.政府による若年者雇用対策

(1)労働市場におけるマッチング機能強化

ハローワークの見直し・機能強化を行うべきである。具体的には、(1)年長フリーターなど対象者を特化したサービスの提供(2)学校卒業前後の若年者を対象とし、ワンストップで相談や職業紹介を受けられる拠点の整備(3)学校との連携による進路指導などの強化(4)職業紹介事業の民間開放の拡大(5)平日夜間や日曜日の開庁などによるサービスの向上――が求められる。
また、民間のマッチング機能を有効活用すべきである。求職者からの手数料徴収の基準の見直しによる民間職業紹介機関の利用促進や、若年者雇用対策の一環として紹介予定派遣制度の柔軟化を検討すべきである。

(2)就労促進型のセーフティネットの構築

職業能力向上施策を労働市場におけるセーフティネットの1つとして位置付けるべきである。その整備のためには、(1)公共職業訓練機関の活用促進(2)知識・技能にとどまらない幅広い職業訓練施策の提供(3)公共職業訓練機関の民間委託の拡大(4)大学や専門学校の有効活用(5)在職者向けの職業訓練機会の確保――が必要である。
併せて、雇用保険については、早期就職へのインセンティブが働くような失業等給付水準の見直しや、一般会計による雇用対策の実施も検討すべきである。

【労政第一本部雇用管理担当】
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