日本経団連タイムス No.2856 (2007年4月19日)

第298回ILO理事会を開催

−08〜09年度予算を審議/総会討議の技術議題決定


第298回ILO(国際労働機関)理事会が、3月8日から30日まで、ジュネーブで開催された。

ILOの予算は2年度単位で決められており、今理事会において2008〜9年度の予算が審議された。その結果、06〜07年度予算をベースに、物価上昇などのコスト増7%を織り込んだ6億3519万ドルの予算が理事会で採択された。日本の分担比率は、国連の分担比率が減少したことに連動して、19.485%から16.632%に減少し、負担金額も1016万ドル減の1億564万ドルとなった。同予算案は最終的には6月の総会で審議の上決定される。

また、09年ILO総会で討議される3つの技術議題が次のとおり決定した。(1)人口動態の変化に伴う高齢者についての雇用や社会的保護を確保するための政策等について討議を行う「新たな人口動態における雇用と社会的保護」(2)労働の世界におけるHIV/AIDSの問題を取り上げ、HIV/AIDSに罹患した労働者の権利保護などについて、09年、10年の2回の討議を経て勧告の策定をめざす「HIV/AIDSと労働の世界」(3)これまでのILOの男女平等に関する取り組みについて検証するとともに、ILOの活動目標であるディーセント・ワーク(人間らしい仕事)の根幹をなす男女平等のさらなる展開について、その方策を検討する「ディーセント・ワークの根幹としての男女平等」――である。

現在ILOは、既存の「労働安全衛生マネジメント・システム・ガイドライン」(ILO OSHMS2001)について、ISO(国際標準化機構)から細則策定に関する協力の申し出を受けている。前回(06年11月)の理事会に引き続き、今理事会においてもISOとの協力の是非が議論された。その結果、国際的な労働安全衛生の基準策定はILOの専管事項であることを再確認し、ISOに対してその細則策定はやめるよう求めることとなった。一方で同理事会は、ISOとの連携の可能性について、ILOの各加盟国政労使と協議を続けることをILO事務局に求めた。

長年にわたって強制労働が問題になっているミャンマーに関して、同理事会は、今年2月にILOとミャンマー政府との間で、強制労働被害者が報復を恐れることなく救済を求められるメカニズムについて合意がなされたこと、ならびにその合意に基づき強制労働が関与する事件についてミャンマー当局が措置をとった事実を歓迎した。また、このメカニズムが効果的に機能するように、ILO事務局に対しては、ヤンゴン駐在ILO連絡員を補佐する職員の早急な任命を、ミャンマー政府に対しては、必要な協力や便宜の提供を要請した。

CAPE理事会も

なお、ILO理事会開催中の3月19日、アジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)の第17回理事会がジュネーブで開催され、06年度の会計報告とともに、昨年7月にモンゴルで開催された「アジア太平洋経営者団体サミット」で導き出された結論のフォローアップ、ならびに今年6月に開催予定の総会の議事次第についての討議などがなされた。

【労政第二本部国際労働担当】
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