日本経団連タイムス No.2857 (2007年4月26日)

温家宝・中国総理歓迎昼食会を開催

−中国市場の重要性指摘 御手洗会長/日中経済協力に期待感 温家宝総理


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は12日、日本商工会議所(山口信夫会頭)、経済同友会(北城恪太郎代表幹事、当時)、日本貿易会(佐々木幹夫会長)、日中経済協会(張富士夫会長)との共催で、都内のホテルにおいて温家宝・中華人民共和国総理の歓迎昼食会を開催した。

御手洗会長は歓迎あいさつで、中国が4年連続の2ケタ成長を遂げていることは、わが国経済界としても喜ばしいことであると述べ、1700億ドルを超える貿易黒字を計上するとともに、海外からの直接投資も700億ドル近くに上る中国の世界の生産基地としての重要性、膨大なポテンシャルを持つ市場としての重要性はますます大きくなっていると指摘した。
その一方で御手洗会長は、中国経済には成長に伴ってさまざまな課題が生じているとして、代表例に環境保全、省エネルギー、省資源を挙げた。その上で、こうした中国の課題を解決していくには日本の持つ経験や知見が大いに役立つとの考えを示し、「とりわけ早急な取り組みが求められている環境、省エネ、省資源問題については、わが国経済界としても、日中間の協力を大いに促進させていく所存である。本日の歓迎昼食会を契機として、環境エネルギー分野での協力も含め、日中関係がさらに深まることを心から祈念する」と述べた。

続いてあいさつした温総理はまず、日中両国がともに平和的発展の道を歩むことが世界の発展につながるとの考えを示した。次いで中国経済の問題に触れ、中国は改革・開放後に安定的な経済発展を遂げたが、不安定で、持続的でない部分もあると述べ、中国経済が持続的成長を遂げるためには、投資、貿易黒字、過剰流動性の抑制という問題を克服しなければならないと指摘。中国は第1次産業、第2次産業、第3次産業の調和を欠いており、工業、とりわけ、エネルギー消費、資源消費が多い産業の比重が高く、サービス業の比重が低いとの見方を示した。さらに、投資が多く、消費が少ないため、国内消費によって内需を拡大させなければならないことや、地域間の発展にアンバランスがあることなどを課題として挙げた。
日中の経済関係については、環境保護や省エネ、ハイテク、金融が両国間で協力すべき分野であるとの考えを述べるとともに、「中国には、(1)国家・社会の安定(2)不断の法律整備(3)公平な市場競争環境――の3つの条件があるので、日本の企業家は、中国の将来の発展を信頼してほしい。中国には大きな市場があり、西部地域や東北地域などには成長の潜在力がある。中国の労働力市場は、質も量もコストも世界的に競争力がある」と指摘し、日本の経済界への期待を示した。
このほか温総理は知的所有権や環境問題にも言及。知的所有権を重視し、知的所有権を侵害する企業への取り締まりを強化していくことを強調するとともに、「中国は5年間にGDP単位当たりエネルギー消費量を20%削減する。環境・省エネについて日本は技術やノウハウを持っており、中国としては大いに参考にすべきだと考えている」と述べた。

【総務本部】
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