日本経団連タイムス No.2857 (2007年4月26日)

「企業行動憲章実行の手引き」を改訂

−法令制定や改正へ適合/ステークホルダーの期待に応える


日本経団連は17日、「企業行動憲章実行の手引き」<PDF>を改訂した。実行の手引きは、企業行動憲章10カ条の精神を、各企業が自主的に実践していく際に必要と思われる項目を例示したもの。今回の改訂は、前回の改訂(2004年6月)以降の企業経営を取り巻く社会情勢の変化を反映し、独占禁止法、消費者基本法、個人情報保護法など企業経営に直接影響を及ぼす法令の制定や改正へ適合させるという観点と、株主や消費者、顧客、従業員といったステークホルダーの期待に応えるという観点を重視したものとなっている。
10カ条すべての項目について、最近の動きを中心に背景を書き加えるとともに、事例の追加や表現の見直しを行った。

まず第1条の社会に有用な製品・サービスの提供では、消費生活用製品安全法の改正を受けての事故情報の適切かつ迅速な公開による再発防止や、消費者基本法の趣旨に従った消費者への情報提供の充実、さらには個人情報保護体制の整備といった内容を追加した。

また第2条の公正・透明・自由な競争では、独占禁止法と、その関連法規の改正に対応すべく、購買ガイドラインに盛り込む事項を追加するとともに、知的財産権の尊重に関する記述を充実させた。

第3条の株主、ステークホルダーとの関係では、インサイダー取引防止に関する項目を新設。さらに、子どもの教育への影響に配慮した適切な情報提供を追加した。

第4条の労働・雇用関係については、ワーク・ライフ・バランスの実現を強調するとともに、その一環として、従業員が育児や学校教育に積極的に参画する機運の醸成を図ることを盛り込んだ。

第5条の環境問題への取り組みでは、アスベストなど製品に含まれる化学物質の管理を追加したほか、省エネルギーや環境保全技術の途上国への移転と環境問題に関する広報といった項目を新設した。

第6条の社会貢献の推進においては、連結ベースに対応し、グループ全体としての社会貢献活動を把握することを追加した。

第7条の反社会的勢力との決別では、従来は総会屋対応に主眼を置いた記述であったのを、反社会的勢力側の手口の巧妙化に対応し、日常のビジネスにおける不当要求の拒絶や、契約書に暴力団排除条項を盛り込むことなどを追加した。

第8条の国際活動における進出先への貢献では、従来、相手国の法令順守や文化・習慣の理解に視点を置いていたのに対して、日本文化の普及を付加し、双方向の理解促進に改めた。

第9条の企業倫理徹底のための社内体制整備では、会社法や金融商品取引法の制定に対応し、内部統制強化の記述を充実させるとともに、公益通報者保護法の趣旨に従い、ヘルプラインの構築について具体的な内容を盛り込んだ。

最後に第10条の経営トップの不祥事への対応では、「経営トップが不祥事について知らなかったということでは済まされない」として、トップのリーダーシップの重要性を改めて強調した。

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「企業行動憲章実行の手引き」のURL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/cgcb/tebiki.pdf

【社会第二本部企業倫理担当】
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