日本経団連タイムス No.2859 (2007年5月17日)

「浜松地域オプトロニクスクラスタ―」視察

−地域活性化委員会開く


日本経団連の地域活性化委員会(辻井昭雄委員長)は4月18日から19日、静岡県浜松市に視察団を派遣し、「浜松地域オプトロニクスクラスター」を中心に同市の地域活性化施策を視察した。また、18日には同市内のホテルにおいて地域活性化委員会を開催した。

同委員会が浜松市を視察した理由は、同地域が過去からの産業集積を基盤として、何事にも積極果敢に取り組む地域独特の気質である「やらまいか精神」の下、クラスター事業を核とした産学官連携による「浜松地域オプトロニクスクラスター構想」を推進することで、新産業創出による地域活性化に成功しているため。

「浜松地域オプトロニクスクラスター構想」とは、同地域に以前から現存した「光」技術に注目し、経済産業省の産業クラスター計画(三遠南信バイタライゼーション)や文部科学省の知的クラスター創成事業等の指定を受けるとともに、高度な技術を有する研究開発型中小企業や静岡大学、浜松医科大学をはじめとする学術研究機関、静岡県浜松工業技術支援センターなどの公設試験研究機関が綿密な連携を図り、世界に通用するオプトロニクス産業の一大集積拠点を形成し、同産業を同地域の新たな産業の柱に育て上げるというもの。

同地域のこうした取り組みの背景には、従来、浜松市は輸送用機器・一般機械機器を中心にものづくり拠点の地域として発展してきたが、1993年に製造品出荷額が前年比で大幅に減少するなど、地域産業の空洞化への危機感と、空洞化対策の必要性の認識が高まったことなどがある。また、同地域の取り組みの特徴としては、「光」技術を中心とした新産業創出の試みのみならず、浜松地域テクノポリス推進機構や浜松商工会議所などの産業支援機関と、浜松市などの行政機関が密接に連携を図り、産官学の連携を強力にサポートしていることも挙げられる。

18日に開催した同委員会では、浜松地域テクノポリス推進機構知的クラスター本部の石村和清理事長から、浜松地域オプトロニクスクラスターの説明を聴取するとともに、地域活性化施策について意見交換した。

なお、期間中の主な視察先は、浜松ホトニクス中央研究所、浜松イノベーションキューブ、静岡県浜松工業技術支援センター、システック、ローランドディー・ジー、静岡大学浜松キャンパスほか。

地域活性化委員会は、地域経済を担う地元企業の役割と地域経済活性化のための施策をテーマに現在活動しており、6月に報告書の発表を予定している。

【労政第一本部企画担当】
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