日本経団連タイムス No.2863 (2007年6月14日)

自然保護協議会が07年度総会開催

−07年度事業計画を承認


日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)は4日、東京・大手町の経団連会館で2007年度会員総会を開催した。総会では06年度の事業報告や07年度の事業計画を審議した。総会終了後、東京大学名誉教授の月尾嘉男氏による記念講演会が行われた。

06年度事業報告

総会ではまず、06年度の事業報告および収支決算報告が行われた。概要は次のとおり。
公益信託日本経団連自然保護基金(KNCF)に対する募金活動は、2億1619万円が集まった。CSRの高まりにより、KNCFや自然保護協議会の活動への理解が高まったことを反映したものであり、前年実績を約3280万円上回った。法人数では264社となり、前年を40社上回る結果となった。
またKNCFによる自然保護プロジェクト支援については、141件の応募申請の中から、59件のプロジェクトに対し、過去15年間で最も多い総額1億8447万円の支援が決定された。
自然保護プロ13名からなるミッションを、ケニアに派遣。マサイマラ国立保護区における生物多様性保全プロジェクトおよびマータイ前ケニア環境副大臣が主宰するグリーンベルト運動の活動地を視察した。またナイロビでは気候変動枠組み条約会合の開催会場で国際自然保護連合(IUCN)のブースでKNCF・自然保護協議会の活動紹介を行った。また現地政府や在外公館、日系企業と懇談、交流を行い、アウォリ副大統領はじめケニア政府要人に、日本の経済界としての自然保護への取り組みを説明し、今後に向けた意見交換を行った。
その他の活動として、NGOとの交流会、報告会を継続実施。生物多様性条約関連で、IUCN(国際自然保護連合)日本委員会主催の生物多様性国際シンポジウムへの後援、大久保会長のパネリスト参加、国連生物多様性条約事務局長のアーメド・ジョグラフ氏との懇談、また生物多様性JAPAN主催のセミナー支援などを活発に行った。さらに自然保護協議会・KNCF設立15周年を記念し、これまでの理念・活動を振り返り、さらに活動の発展を図るために記念誌の編纂に取り組んだ(07年5月発行)。

07年度の事業計画

続いて07年度の事業計画と収支予算案が示され、原案のとおり承認された。概要は次のとおり。
自然保護プロジェクトの支援に要する募金にかかわる活動では例年どおり目標を2億円とし、会員企業の協力を得て目標額の達成に努める。
07年度の視察ミッションについては、中国・雲南省の世界自然遺産地域における生物多様性保全プロジェクトの視察を中心に検討していく。
また、生物多様性保全に関する意識啓発、促進のために、さまざまな場で議論を進めていく。また企業における環境教育の促進など優先度の高いものから検討し、実現を図る。
さらに、NGOとの協働を進める場づくりに注力し、内外の政府機関やIUCNなどの国際機関との連携を強化し、あらゆる機会を通して自然保護協議会の国際的認知度を高めるよう努める。さらに自然保護協議会、KNCF設立15周年に当たり、関係行事を行い、活動のさらなる発展を期していく。

月尾嘉男氏講演会

続いて、東京大学名誉教授で環境問題にも詳しい月尾嘉男氏の講演『自然を守る戦略』が行われた。同講演会には、会員企業や自然保護基金への寄付者など、約170名が出席した。
月尾氏は名古屋大学、東京大学教授を歴任する傍ら、趣味のカヌーを活かし世界各地を巡り、専門のメディア政策のほか、環境問題についても積極的に発言している。
講演では森林や化石燃料など自然資源収奪の終焉とその後の再生可能な素材、燃料の利用を促し、日本古来の伝統を再考し、縮小文明の構築に範を求めるべきだと指摘した。

「自然保護協議会・KNCF設立15周年記念誌」の詳細に関しては、自然保護協議会事務局(電話03−5204−1697)まで問い合わせのこと。

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