日本経団連タイムス No.2867 (2007年7月12日)

知的財産委員会・産業問題委員会合同会合開く

−知的財産戦略や産業財産権めぐる課題など聴取


日本経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で知的財産委員会(野間口有委員長)と産業問題委員会(齋藤宏共同委員長、西田厚聰共同委員長)の合同会合を開催した。

会合ではまず、内閣官房知的財産戦略推進事務局の小川洋事務局長から、「我が国の知的財産戦略」をテーマに講演を聴取した。

小川事務局長は、「激化するグローバル競争の中で、イノベーションを支える知的財産戦略の重要性はますます高まっている。質の高い技術・コンテンツを生み出し、それを迅速に製品化、事業化、知的財産化するとともに、そこからの収益を新たな知的創造に再投資する『知的創造サイクル』を確立させなければならない」との基本的な考えの下、「『知的財産推進計画2007』では、特に国際的な展開を従来以上に意識した。具体的には、(1)世界特許システムの構築に向けた取り組みの強化(2)『模倣品・海賊版拡散防止条約』の早期実現や水際の取り締まり強化などによる模倣品・海賊版対策の強化(3)『国際標準化総合戦略』の具体的推進(4)アニメ、音楽、食文化などのコンテンツを活かした文化創造国家の実現――などの施策にスピード感を持って取り組んでいく。施策の実現に向けては、政府だけではなく、産業界の協力が不可欠であり、官民が連携して産業構造改革に取り組んでいかなければならない」と述べた。

その後の意見交換では、日本経団連側から「優れたコンテンツの創出に向けて、取り組みのさらなる充実をお願いしたい。産業界としても自主的な取り組みを強化していく」「世界特許システムの実現をめざして、諸外国との制度のハーモナイゼーションを進めてもらいたい」「地域、中小企業に対する支援体制の充実に努めてもらいたい」といった意見が出された。

続いて、特許庁の中嶋誠長官(当時)が、「我が国の産業財産権を巡る現状と課題」をテーマに講演を行った。

中嶋長官からは、「知的財産制度自体は各国に普及したが、国によって制度の内容や執行体制が異なっているため、さまざまな障害が発生している。経済のグローバル化、イノベーションの展開、IT技術の進展といった経済活動の実態に合わせて、制度を変えていく必要がある」との考えが示された。

さらに、「企業には知的財産管理、知的財産ポートフォリオの質の向上が求められている。事業戦略、研究開発戦略と融合した複眼的な知的財産戦略の推進をお願いしたい。また、知的財産制度の改革に向けて、産業界からユーザーとしての意見を寄せてもらいたい」と述べた。

続いて行われた意見交換では、「特許審査の質を向上させるためには、民間からの情報提供が大切である」との意見が出された。

【産業第二本部開発担当】
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