日本経団連タイムス No.2871 (2007年8月9日)

中小企業委員会を開催

−「中小企業底上げ戦略」の説明聴取


日本経団連は7月31日、東京・大手町の経団連会館で中小企業委員会(指田禎一委員長)を開催し、中小企業庁長官官房の数井寛参事官から政府の推進する「中小企業底上げ戦略」についての説明を聴取するとともに、同委員会が研究をしている中小製造業のイノベーションと現場力の強化に関する報告書案についての審議を行った。「中小企業底上げ戦略」の要旨は次のとおり。

■中小企業底上げ戦略の概要

「中小企業底上げ戦略」は、政府の推進する「成長力底上げ戦略」にある3本の矢(1.人材能力戦略2.就労支援戦略3.中小企業底上げ戦略)の1本で、「中小企業生産性向上プロジェクト」と「最低賃金の底上げ」の二つからなる。中小企業の生産性を高めることで、最低賃金の引き上げを図るというのが基本的な考え方。

■中小企業生産性向上プロジェクト

同プロジェクトは、「共通基盤対策」「重点業種・重点地域活性策」の2つからなる。

このうち「共通基盤対策」は、(1)下請け適正取引等の推進(2)IT化・省エネ・機械化・経営改善(3)中小企業の再生(4)中小企業人材能力の向上(5)創業・起業等――の5つからなる。

「下請け適正取引等の推進」は、業種ごとのガイドラインの策定・遵守・普及や独占禁止法、下請法による取り締まりの強化などからなる。

「IT化・省エネ・機械化・経営改善」は、生産性向上特別指導員(経営コンサルタント、企業OB)を配置し、経営改善やIT経営導入のためのコンサルティング・事業見直し、システム開発などを一貫して支援する体制づくりを検討している。

「中小企業の再生」は、「地域中小企業再生支援ネットワーク」を構築し、再生人材プラットフォームおよび中小企業再生ファンドと一体となった再生支援を実施。

「中小企業の人材能力の向上」では、2007年から団塊世代が大量退職する中で、培われた技術・ノウハウ等を中小企業や地域に活かすとともに、日本が守るべき技術の海外流出を防ぐことを目的に、大企業から中小企業へ、大都市から地方へ、海外から国内へとその活躍の舞台を変えることで、やりがい、生きがいを見いだすことができる新たなシニア人材(新現役)の潮流を生み出すことをめざす「新現役チャレンジプラン(仮称)」を創設。

「中小企業の起業・創業」は、都道府県や地域金融機関などが一体となって地域中小企業の成長段階に応じて支援する「地域中小企業応援ファンド」を創設している。

また、「重点業種・重点地域活性化策」は、中小企業地域資源活用促進法に基づく「中小企業地域資源活用プログラム」により、地域資源を活用した中小企業の新商品・新サービスの開発・市場化を支援し、地域産業発展の核となる新事業を5年間で1000創出するとしている。

【労政第一本部企画担当】
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