日本経団連タイムス No.2872 (2007年8月23日)

会計基準の国際的収斂の進め方で考え方を取りまとめ

−EUが進める同等性評価への着実な対応など促す


日本経団連の経済法規委員会企業会計部会(八木良樹部会長)は8日、急速に進む会計基準の国際的な収斂(コンバージェンス)について、今後のわが国の取り組みに関する基本的な考え方を取りまとめ、公表した。概要は次のとおり。

経済活動のグローバル化に伴い、金融証券市場のインフラである会計基準の国際的コンバージェンスが急速に進んでいる。国際会計基準(IFRS)を統一基準とするEUでは、2009年から外国企業に対してもIFRSかこれと同等以上の会計基準の適用を義務付け、現在、日本をはじめとする主要国の会計基準の同等性評価を進めている。また、米国とEUは連携を深め、先般、米国SEC(証券取引委員会)は09年を目途に、外国企業の米国上場に際して、IFRSを無条件に容認するという画期的な規則改定案を公表し、さらに米国企業に対してもIFRSでの上場を容認する方向で検討が進められている。このように、欧米では、会計基準設定主体のみならず規制当局も含め連携を図り、会計基準のコンバージェンス作業を加速している。わが国においても、関係者が一丸となって、国際会計基準、米国基準とのコンバージェンス作業をさらに急ぐべきである。

  1. 当面、EUにより08年に最終評価が行われる会計基準の同等性評価に対し着実に対応を図るべきである。日本の会計基準設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)が策定したプロジェクト計画表に基づいて作業を急ぐことにより、日本基準とIFRSとの主要な差異は解消されるものと確信する。

  2. 米国とEUの連携強化に歩調を合わせるよう、同等性評価の対象項目以外にも、重要な差異がある場合には、一定の期限を区切りIFRSと日本基準のコンバージェンスを進めるべきである。

  3. 米国の基準設定主体であるFASB(財務会計基準審議会)とIASB(国際会計基準審議会)が進めている長期的なコンバージェンス作業にわが国も参加し、意見反映に努めるとともに、今後も継続的に日本基準との調整を図っていくべきである。日本経団連としても日本の財務諸表作成者の意見を取りまとめ、積極的な意見発信を行う。

  4. 08年にEUにおいて日本基準がIFRSと同等と評価された場合には、日本企業の日本でのEU上場と、EU企業のIFRSでの日本上場について、政府レベルで相互に正式承認すべきである。

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日本経団連では2日にIASBのトウィーディー議長を招き、上述の基本的な考え方を説明するとともに懇談を行った。トウィーディー議長からは、世界第2位の経済大国である日本が、国際的な会計基準のコンバージェンスに積極的に参加することへの強い期待が示された。また、日本経団連の考え方も踏まえつつ、ASBJとIASBは8日に、2011年までに会計基準のコンバージェンスを達成する旨の「東京合意」を取りまとめ公表した。

【経済第二本部税制・会計担当】
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