日本経団連タイムス No.2875 (2007年9月13日)

日本経団連グリーンフォーラム8月講座を開催

−「目標達成のためのコーチング」/実習を交えながら学ぶ


日本経団連グリーンフォーラムは8月29日、8月度の月例講座を開催した。今回は、講師に本間達哉コーチ・エィ取締役シニアエグゼクティブコーチを迎え、「目標達成のためのコーチング」をテーマに、コーチングの基礎からその原則、基本技術、プロセスなどを、実習を交えながら学んだ。

■第1講座

第1講座で本間氏は、さまざまな分野のスポーツ選手にコーチがついて成果を上げているように、ビジネスパーソンにもパフォーマンスや業績を上げるためにコーチという存在が不可欠であると指摘。コーチとは本来、4頭立ての馬車(Coach)のことであり、それが転じて「大切な人をその人が望むところに送り届けること」を意味するようになったことや、コーチングを実施する際に重要なことは、相手を大切な人だと思えるか否かで、それによって結果の良しあしが決まることなどを解説した。

次に、コーチングについては「目標達成に必要な知識・技術・資源を双方向のコミュニケーションによって相手に備えさせること」、コーチングスキルを「相手の自発的な行動を促すコミュニケーション技術」であると定義。コーチングを行うときは、(1)双方向(インタラクティブ、一方通行ではない)(2)個別対応(テーラーメイド、異なる人の特質や強み弱みに応じて行う)(3)継続性(オンゴーイング、フォローアップが不可欠)――の三つを原則とし、その原則に立ち、相手のレセプター(本来は受容器、受容体の意味。コミュニケーションにおいて情報を受け取る「聞く耳」のこと)を開かせ、自発的な行動を促し、いかにその気にさせるかが重要であると強調した。

さらに、「いくらコミュニケーションを図ろうとしても、興味のないこと、関心を持たないことには、相手はレセプターを開こうとしない。そうしたときにコーチに求められるのは質問力であり、相手に考えさせ、気付きを与える“オープン・クエスチョン”と、多くは確認に用いる“クローズド・クエスチョン”を効果的に組み合わせて使うことで、自発性の発揮に結び付けることができるようになる」と述べ、どのようなときに、どのような質問がより有効であるかについて具体的に示した。

■第2講座

第2講座では、まず、具体的な例題に沿ってコーチングの基本的なプロセスについて説明。準備段階に当たるセットアップから、現状と目標の明確化を行い、次にギャップを分析し、その後、アクションプランをつくり、最後に確実なフォローアップをするという流れの中で、最も大切な「いかに目標をはっきりさせるか」ということを意識させた上でコーチングの実践に移った。

実践でメンバーはペアを組み、コーチとクライアントに分かれ、役割を入れ替わりながら二つの役割を経験した。

実習に対して、コーチングの講座を初めて受講した参加者は「どうしてもすぐに相手にアドバイスをしたくなってしまう」「質問を考えることに気をとられ、相談内容に集中できない」「慣れないことの連続で思った以上に時間がかかる」などの感想を述べた。

最後に本間氏は、「人間は一度やったことでも6日でその7割は忘れてしまうといわれている。コーチングも普段からのトレーニング、経験の積み重ねが大切。ぜひ、クライアントとともにつくり上げていくようなコーチングをしてほしい」と講義を締めくくった。

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「プロフェッショナルのコアスキルを学ぶ」を総合テーマに、将来の経営幹部候補(課長相当職)を対象として今年5月に開講した第2期日本経団連グリーンフォーラムメンバーは、月例の講座で実践力とスキルの向上をめざし研鑽を重ねている。この後9月に「ロジカルシンキング」、10月に「説得力と交渉力」、11月に「マーケティング」などの講座を実施する。

【日本経団連事業サービス研修担当】
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