日本経団連タイムス No.2878 (2007年10月4日)

「神奈川県における中小企業支援施策」

−中小企業委員会で講演を聴取


日本経団連は9月19日、東京・大手町の経団連会館で中小企業委員会(指田禎一委員長)を開催し、馬来義弘・神奈川県産業技術センター所長から「神奈川県における中小企業支援施策‐ものづくり技術支援強化活動と神奈川R&Dネットワーク構想について」と題する講演を聴取するとともに、中小企業委員会報告書案の審議を行った。
馬来所長の講演概要は次のとおり。

神奈川県では全国トップレベルの優遇制度を整備することで神奈川への投資促進を目的とする「インベスト神奈川(神奈川県産業集積促進方策)」を推進しているが、その政策を広く県内の中小企業に普及させるために、県の産業技術センターを中心に高付加価値型産業の創出等を目的とした「神奈川県R&Dネットワーク構想」を推進している。

R&Dネットワーク構想の取り組みとしては、(1)研究所等技術連携ネットワークの構築(2)産学公技術連携データベースの構築(3)大企業保有技術の県内中小企業への移転(4)県内中小企業オンリーワン技術の大企業での活用(5)工学系大学研究成果の県内中小企業への移転(6)産学公連携等による共同研究の推進――がある。

神奈川県産業技術センターは現在、県の政策を実践するために、ものづくり技術支援強化活動を実施している。

同活動は、(1)技術相談件数、依頼試験収入、受託研究収入を3年間で3倍増にする「3年・3倍増活動」(2003-05年度)(2)試験データの質的レベルの向上や商品化・コスト低減等への貢献度の向上といった「質的レベル倍増活動(QL2活動)」――が大きな柱となっている。

これまでの同活動の実績としては、産業界(特に県内中小企業)に対する貢献度の向上のほか、全国の公設試験研究機関(公設試)におけるベンチマーク先として定着してきたこと、職員の顧客意識・納期意識の向上、自信の高まりなどが挙げられる。

中小企業支援に果たす公設試の役割は非常に大きく、かつ今後はさらに重要性が高まるとの認識から、神奈川県産業技術センターは、経営と技術の一体的支援ならびに仲人機能(コーディネート機能)のさらなる発揮を通じて、日本で最も中小企業に貢献する公設試となることをめざしている。

【労政第一本部企画担当】
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