日本経団連タイムス No.2884 (2007年11月22日)

欧州議会議員と懇談

−会計基準などで意見交換


日本経団連は10月30日、東京・大手町の経団連会館で欧州議会議員との懇談会を開催。欧州側からは7名の議員(出身国=フランス、ドイツ、ポルトガル、ハンガリー)ならびにヒュー・リチャードソン駐日欧州委員会代表部大使らが、日本側からは佐々木元日本経団連ヨーロッパ地域委員会共同委員長らが参加した。佐々木共同委員長の歓迎あいさつに続き、欧州側を代表してペルヴァンシュ・ベレス訪日議員団団長(フランス)があいさつし、グローバル化が進展する中、地球規模で解決すべき課題が散在しているとして、来年G8議長国を務める日本の役割に期待を表明した。

その後、会計基準、地球温暖化、日EU・EPAなどについて意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ 会計基準について

EU

日本とEUが同じ歩調を取ることが重要であることは既に日欧間で共有している。今後は、IFRS(国際会計基準)の普及、徹底のために、会計基準のコンバージェンスを進めていくことが望まれる。そのためにも日本とIASB(国際会計基準審議会)が深く議論を進めていくことが必要である。

日本経団連

日本ではEUの同等性評価を視野に入れて、コンバージェンス作業の計画を進め、着実に実行している。日本としても世界共通の優れた会計基準の策定に協力していきたい。なお、IASBは「純利益」を廃止する方向であるが、純利益は投資家、企業経営者双方にとって非常に重要な指標であり、欧州の産業界と共にその廃止には反対している。

■ 気候変動について

EU

欧州委員会ではポスト京都議定書の枠組みを検討するため、気候変動委員会を議会に新設した。枠組みではすべての主要排出国が参加する枠組みをつくることが重要であり、日本経団連の提案する Commitment & Progress 方式も有望である。また、技術革新による排出量の削減も今後推進していく必要があるだろう。
キャップ・アンド・トレードの一形態であるEUETS(域内排出量取引制度)には、政府の統制につながるなどの異論はあるが、市場メカニズムに立脚した排出権市場を育成することが重要であると考える。
ポスト京都議定書の枠組みを途上国も参加できるようにするためには、ある程度、途上国にも猶予を持たせた制度とする必要がある。

日本経団連

地球温暖化の防止には、すべての主要排出国が参加する国際枠組みを策定するのと同時に、温室効果ガス削減のための技術革新が不可欠である。EUETSの制度は否定しないが、キャップ(排出枠)を公平に課すことが難しく、どの国でも導入できる制度ではない。各国が独自の文化や歴史に合わせた排出の取り組みを行うべきである。なお、日本の産業界は自主的取り組みで既に成果を上げている。

■ 日EU貿易投資関係について

EU

EUでも二国間の貿易投資自由化の枠組みを検討しているが、現時点では(WTOにおける)多角的自由化枠組みを優先している。ただし、日EU二国間の枠組みを望む機運が高まっていることには留意したい。

日本経団連

日本経団連もWTOによる多角的な貿易自由化を重視している。WTOとFTA・EPAは自由貿易体制確立のための車の両輪であり、補完関係にある。日・EUのEPAは、貿易、投資のみならず、イノベーションなど多岐にわたる協力を模索し、従来のFTA・EPAの枠組みを超えた包括的な枠組みをめざしたい。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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