日本経団連タイムス No.2886 (2007年12月13日)

渡海文科相と今後の科学技術政策で懇談

−宇宙・海洋分野の研究開発や科学技術の国際競争など


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は11月28日、東京・大手町の経団連会館で、渡海紀三朗文部科学大臣との懇談会を開催し、今後の科学技術政策のあり方について意見交換を行った。

開会に当たり、あいさつを行った榊原定征副会長・産業技術委員長は、「科学技術を起点としたイノベーション創出力を高めるべく、第3期科学技術基本計画に掲げられた施策を着実に実施することが肝要である。とりわけ、世界各国が政府研究開発投資を増額させている中、科学技術予算の対GDP比1%の確保や研究開発促進税制の拡充は、わが国の長期的な競争力を維持する上で不可欠である」と述べた。その上で、知の創造やイノベーション創出を担う人材育成の重要性を指摘し、日本経団連における高度IT人材育成に向けた取り組みや理工系博士人材の育成・活用に向けた活動を紹介し、産学官連携による教育機能の強化の重要性を訴えた。

続いて、渡海文科相からは、「政府として研究開発をしっかり進めることが持続可能な社会を実現する上で不可欠である。歳出入一体改革の中、厳しい状況にあるが、選択と集中を行い、質を落とすことなく投資効率を高めていくことが重要だ」とのあいさつがあった。また、原田令嗣文部科学大臣政務官は、「厳しい国際競争の中、科学技術創造立国を担う人材の育成が重要である。科学技術、イノベーションを振興し、環境・エネルギー問題など地球規模的な課題の解決に日本が主導的な立場に立つ必要がある」と強調した。

その後の意見交換では、まず、槍田松瑩副会長、谷口一郎評議員会副議長・宇宙開発利用推進委員長、伊藤源嗣海洋開発推進委員長から、宇宙、海洋といったフロンティア分野における政府の研究開発の重要性について発言があり、技術開発基盤の整備、予算の確保とともに、今年7月に施行された海洋基本法に基づく総合的な計画の策定、現在国会に上程されている宇宙基本法の早期成立を要望した。これに対し、渡海大臣からは、フロンティア分野における政府の役割の重要性にかんがみ、文科省として可能な限り努力したいとの発言があった。

また、科学技術における国際競争の観点から、秋草直之貿易投資委員会共同委員長、矢野薫国際協力委員会共同委員長が、日本への留学生のネットワーク強化、オープン・イノベーション政策の強化等について発言し、産学の共同研究における障壁等についても意見交換が行われた。さらに、人材育成について、理工系博士人材の育成・活用方策を中心に、産官双方の考え方や要望が披露され、活発な議論が行われた。

日本経団連では、引き続き、産業技術委員会を中心に、科学技術を基点としたイノベーション創出に向けた諸方策について検討を進め、関係方面に必要な働き掛けを行うこととしている。

【産業第二本部技術担当】
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