日本経団連タイムス No.2889 (2008年1月17日)

「第3回高度情報通信人材育成に関する産学官連携会議」開催

−約200名が参加し意見を交換/ナショナル・センター構想で見解の一致確認


日本経団連は12月20日、東京・大手町の経団連会館で、「第3回高度情報通信人材育成に関する産学官連携会議」を開催した。同会議には、高度情報通信人材の育成に携わる産学官の関係者200名余りが参加し、企業、大学、政府がこれまで行ってきた取り組みについてレビューするとともに、それらの取り組みを加速化するための方策について、参加者が認識を共有した。

冒頭の開会あいさつでは、産業界代表として日本経団連情報通信委員会高度情報通信人材部会の山下徹部会長が、「現在、産学官がそれぞれ個別に行っている小規模の取り組みを一つの大きな流れに統合しなければならない」と訴えた。続いて情報処理学会の中島秀之副会長からは、「ICT(情報通信技術)は社会全体の仕組みを効率化する役割を担っており、ICTに携わる人材の育成には国が一丸となって取り組む必要がある」とのあいさつがあった。政府を代表して岸田文雄内閣府特命担当大臣は、「ICTは産業の競争力のみならず社会経済の活力の源泉」との認識を示した上で、「高度ICT人材育成の強化には産学官の連携が不可欠である」と強調した。

次に、日本経団連のこれまでの取り組みについて山下部会長から説明があり、取り組みに携わる大学や企業の関係者に敬意を表するとともに、加速化に国として取り組むことの重要性を改めて強調した。

政府からは、内閣官房、文部科学省、経済産業省、総務省からそれぞれ高度情報通信人材育成の加速化に向けた施策の説明があった。

日本経団連の協力大学の代表としては、筑波大学、九州大学、東海大学、立命館大学から、産学連携により開講中のカリキュラムの内容や学生の順調な成長ぶりについての状況報告と、来年度に向けての取り組みや課題に関する説明があった。

会議後半では、まず特別講演として、ドイツにおける先進的な高度ICT人材育成拠点として知られるポツダム大学のハッソ・プラットナー・インスティテュートのマイネル所長から、その取り組みについて講演が行われた。講演では、先進的なITスキルの実践的な教育だけでなくソフトスキルの教育も重要であること、実践的な教育を提供するために企業と密接な協力関係を築いていることなどが紹介され、今後の産学連携に向けて示唆に富んだ内容であった。

次に、日本経団連情報通信委員会高度情報通信人材部会戦略・企画チームの大力修座長から、12月18日に公表した提言「高度情報通信人材育成の加速化に向けて」の説明があった。同提言では、加速化に向けた具体的方策としてナショナル・センターと融合型専門職大学院の設立を提案しており、提言の実現に向けた産学官の一層の連携を訴えた。

続いて産学官それぞれの代表によるパネルディスカッションが行われ、現在の取り組みを加速化するためには何らかのナショナル・センターが必要であるとの認識でパネリストの見解が一致していることを確認した。

最後に、日本経団連情報通信委員会の石原邦夫共同委員長から閉会のあいさつがあり、産学官の関係者の思いは一致しており、今後は具体的なアクションを起こすことが重要であることを強調して会議を締めくくった。

【産業第二本部情報通信担当】
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