日本経団連タイムス No.2890 (2008年1月24日)

モラン・カナダ国際貿易次官と懇談

−「日加共同研究」報告書の内容や今後の経済関係への期待等聴取


日本経団連のカナダ委員会(青木哲委員長)は15日、東京・大手町の経団連会館で、マリー・ルシー・モラン・カナダ国際貿易次官との懇談会を開催した。日本経団連からは、青木委員長、三浦一朗カナダ委員会企画部会長ほか27名が出席した。

日加間では、2005年1月の首脳合意に基づき「日加経済枠組み」が立ち上げられ、同枠組みの下、15の優先協力分野の特定や、両国間の貿易・投資のさらなる促進がもたらす費用と便益に関する「共同研究」が実施された。日本経団連では、同枠組みに向けて、06年4月に「日加経済連携強化に向けて」と題する報告書を取りまとめ、両国政府間による第2回共同研究作業部会において、三浦部会長から日本経団連の考え方について説明した。これらの両国産学官からのインプットを踏まえ、日加共同研究の報告書は、昨年10月に公表された。

この日の懇談会は、今般、カナダ側において同報告書の取りまとめに当たったモラン次官が来日したのを機に、同次官を招き、報告書の内容や、今後の日加経済関係に対する期待等について説明を聴いたものである。

冒頭、モラン次官は、共同研究作業部会に対するカナダ委員会の貢献をはじめ、日加経済連携強化に向けた、カナダ委員会のこれまでの支援に感謝の意を表した。その上で、今後、共同研究の内容を具現化させるため、引き続き重要な役割を果たしてほしいと強い期待感を示した。

次官は、カナダ経済については、好調に推移しており、国家の財政収支も健全であるため、カナダ政府は、昨年11月に、大規模な減税策を発表し、法人所得税率をG7の中でも最も低い25%に引き下げることをめざしていること、また、エネルギー資源を含めた天然資源のほか、高度な科学技術やイノベーションなどが好調なカナダ経済を支えていると説明し、カナダ政府が新たに策定した長期経済計画と科学技術国家戦略に関して紹介した。

続いて、日加経済枠組み共同研究報告書について触れ、日加EPA(経済連携協定)に関する共同研究の立ち上げを合意するには至らなかったが、両国経済関係強化の方向性を示した点で非常に高く評価していると指摘した。また、訪日中に開催された合同経済委員会(JEC)では、15の優先協力分野の中から、さらに優先課題を整理して取り組みを進めること、規制改革対話と貿易政策対話の立ち上げ、農業政策枠組み対話の実施などに合意したことを紹介し、課題解決のためには、対話の継続性に加え、民間部門の対話への参画も重要であると述べた。

最後に、カナダは、経済成長の著しいアジア大洋州地域でさらに存在感を高めたいと考えており、その実現に向けて、日本とのさらなる連携強化に向けた取り組みが重要であると強調。今回の訪日中に意見交換した多くの日本企業幹部からも、現状の日加経済関係を一層強化させたいという意欲的な姿勢を感じることができたと懇談の成果を披露した。また、今年4月に予定されているG8ビジネスサミットは、両国の経済関係を再活性化する良い機会になるとして、G8ビジネスサミットへの期待を表明した。そして、日加経済関係に関するカナダ側の究極的な目標は、日本とのEPA締結であり、遠くない将来、それを実現させたいと締めくくった。

【国際第一本部北米・オセアニア担当】
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