日本経団連タイムス No.2891 (2008年1月31日)

日本ロシア経済委員会が日本センター所長と懇談

−各地経済活動の現状など聴取


日本ロシア経済委員会(安西邦夫委員長)は18日、都内で、日ロ間の経済交流の促進などを目的として、日本政府がロシア国内7カ所に設置している日本センターの各所長を迎え、各地の経済活動の現状と展望について、説明を聴いた。

■ かつてない活況を呈するモスクワ

モスクワ日本センターの朝妻幸雄所長は、好調なロシア経済を背景として、首都モスクワに富が集中する中、不動産価格が高騰を続けていることに懸念を示した。日ロ間の経済交流については、かつてないほど活発化しているとはいえ、欧米企業と比べれば、ロシアにおける日本企業のプレゼンスは依然として低いと指摘した上で、ビジネス拡大の可能性は大いに残されているとの見解を示し、次々と新しいビジネスを提案するロシア企業との、積極的なビジネス・マッチングを呼び掛けた。

■ 外国企業進出ラッシュに沸くサンクトペテルブルグ

サンクトペテルブルグ日本センターの山本博志所長からは、2005年の日本の自動車メーカーによる工場建設の決定が追い風となり、当地は、世界の自動車メーカーのロシアにおける一大生産拠点として台頭しつつあるとの印象が述べられた。その上で、建都以来、安定的な産業基盤を有してきたことに加え港湾、道路、鉄道等の大型インフラ整備が着実に進んでいることが、発展目覚ましいサンクトペテルブルグの強みであると指摘した。

■ 地域経済活性化に取り組む有望地域

ハバロフスク日本センターの黒坂昭一所長は、ロシアにおける消費拡大の趨勢が極東地域にも波及する中、連邦政府が極東ザバイカル地域発展プログラムを策定したことにより、新たなビジネスチャンスに対する期待が一層高まっていると述べた。他方、極東におけるヒト・モノ輸送のハブとしての機能が、ハバロフスクからハルピンなど中国国境部の都市に移りつつあるとの危機感も示した。

ウラジオストク日本センターの浅井利春所長は、今後ロシア西部での新車生産が本格化することを踏まえると、当地の主要なビジネスとなっている中古車輸入は現在がピークであるとの見解を示した。また、当地では、2012年にAPEC首脳会議の開催が予定されているが、大規模な建設プロジェクト案件を担う地元企業は見当たらず、地元での盛り上がりにいま一つ欠けていると指摘した上で、今後、資機材需要が高まる可能性はあるとの見通しを示した。

サハリン日本センターの遠藤隆雄所長は、これまでサハリン原油・天然ガス開発プロジェクトの進展により急成長を遂げてきたサハリン州経済であるが、現在はやや落ち着きを見せているとの見方を示した。また、州としては、資源・エネルギーや海産物といった一次産品の供給地にとどまることなく、観光資源開発、水産物加工、石炭開発などの分野で、日本との協力関係の強化を望んでいると紹介した。

ニージュニー・ノヴゴロド日本センターの種村博雄所長からは、沿ボルガ地域は、ロシア国内の重工業・加工産業の中心地であり、物流のハブともなっているものの、インフラ整備は遅れていることから、連邦政府との連携の下、鉄道の整備を含めた再開発を積極的に進めている、との説明があった。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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