日本経団連タイムス No.2894 (2008年2月21日)

「通信・放送融合時代における新たな情報通信法制のあり方」を提言

−レイヤー型法体系への転換を提案/総務省研究会報告への具体的な対案を提示


日本経団連は19日、提言「通信・放送融合時代における新たな情報通信法制のあり方」を発表した。同提言は、急速な技術革新により、インターネット上でのテレビ視聴が技術的に可能となる等、通信・放送の融合が進展する中、新たな市場の創造、イノベーションを通じた情報通信産業の国際競争力強化に向けた新たな通信・放送制度のあり方について、情報通信・放送サービスの企業ユーザーおよび情報・コンテンツの供給者としての企業の立場から、産業界の考え方を取りまとめたものである。

同提言は4章から構成され、第1章では、通信と放送の融合が技術的に進展する中、旧来の技術等を踏まえて歴史的に構築された制度を抜本的に見直す必要性を指摘し、欧州、韓国等の諸外国における制度改革の動向を紹介している。また、わが国においても、「2010年までに通信・放送の総合的法体系について結論を得る」という一昨年の政府与党合意を踏まえ、昨年末、総務省の研究会の報告書において、新たな通信・放送融合法制のあり方が示されたのを受け、同提言では今後の法制化へ向けた具体的な対案を提示している。

第2章では、現在の通信・放送の制度的枠組みの問題点として、事業・メディアごとに細分化された9本もの法律から成っていることを挙げ、このような複雑な法体系の下では、従来の枠組みにとらわれない、通信・放送融合領域に属する新たなサービスに対しても、従来型の規制が課されたり、新たなビジネスの芽が摘み取られる可能性があることを指摘。その上で、新たな融合法制は、このような問題を解決し、(1)技術革新への対応(2)融合サービス・市場の創出(3)利用者・視聴者重視の法体系への転換――等の便益をもたらすべきとしている。また、法体系の見直しに際しては、(1)新規参入、自由・公正な競争促進による産業の活性化(2)事前規制から事後規制への移行――等を基本原則とすべきであると述べている。

第3章では、新たな法体系の基本的方向性について、現在の情報通信分野の事業が、ネットワーク上を流通する情報(音声、データ、映像等)である「コンテンツ」、それを運ぶ「伝送サービス」、通信網等の「伝送設備」といった、従来の通信・放送の垣根を越えた、階層(レイヤー)型構造に変化していることも踏まえ、このようなレイヤーごとに規律する法体系に転換することを提案している。

その上で、コンテンツは原則自由で民間の自己規律にゆだね、伝送設備は通信・放送共通の枠組みとすべきであることを述べている。また、レイヤー型法体系の下でも、現在の地上テレビ放送や携帯電話のように、レイヤーを越えた垂直統合的な事業展開も可能としている。さらに、新たな制度的枠組みの構築にあたっては、行政組織のあり方も見直し、通信・放送に関する独立規制機関の設置を提案している。

各レイヤーの規律のあり方については、まず、コンテンツは原則自由で民間の自己規律にゆだね、規制は必要最小限とすべきと述べている。新たな法制度は事業者のみを対象とすべきであるという立場から、私信はもちろん、ホームページ等は、新法制の枠外に置いた上で、ホームページ等における違法・有害コンテンツ対策は、刑法等の他、民間の自主的取り組み、国際的連携による対応を強化すべきであると提案している。

また、放送コンテンツについても、規制は必要最小限という原則から、明確な定義の下で、基幹放送とそれ以外の二つに分類し、基幹放送については、規制は現行の放送準則レベルとし、それ以外については、大幅な規制緩和により、原則として民間の自己規律にゆだね、通信・放送融合型のビジネスも含め、自由な事業展開を可能とする枠組みにすべきと述べている。

伝送サービスおよび伝送設備の規律のあり方に関しては、公正競争確保の観点から必要最小限の事前規制を行うべきとしている。

第4章では、情報通信産業の国際競争力強化のためには、融合法制の整備以外に、規制主体の改革、著作権、高度ICT人材育成等も残された課題であることを指摘している。

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通信・放送融合法制については、今月15日に情報通信審議会に諮問され、具体的な検討が始まったところであるが、日本経団連としては、提言内容が具体的に法制に反映されるよう、今後とも関係方面への働き掛けを行っていく。

【産業第二本部情報通信担当】
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