日本経団連タイムス No.2895 (2008年2月28日)

日インドネシア関係の拡大と深化に向けて

−ギナンジャール・インドネシア地方代表議会議長から説明聴取/日本・インドネシア経済委員会


日本・インドネシア経済委員会(興津誠共同委員長、辻亨共同委員長)は19日、インドネシアのギナンジャール・カルタサスミタ地方代表議会(日本の参議院の機能に相当)議長を招き、懇談会を開催した。

今年2008年は、日本とインドネシアが国交を樹立してから50周年に当たる「日本インドネシア友好年」であり、両国においてさまざまな友好年記念行事が実施される。そこで、インドネシア日本友好協会会長ならびに友好年インドネシア側実行委員会名誉議長を務めるギナンジャール議長が来日したのを機に、日本・インドネシア関係のさらなる緊密化に向けた課題などについて説明を聴いた。ギナンジャール議長の説明要旨は次のとおり。

■ 日インドネシア協力関係における社会・政治的側面

民主主義国同士は戦争をしないとしばしば言われる。インドネシアと日本はアジア太平洋地域における二つの民主主義国家であり、2国間関係を緊密化する基盤が備わっている。また、過去の経験をベースに国家間関係を構築していくとき、われわれインドネシア人は過去にいつまでもこだわることはせず、先を見据えたプラグマチックなアプローチを取る。インドネシアのこうした姿勢は、安定的かつ実り多い2国間関係を確固たるものとする上で重要な役割を果たしてきたと思う。

長期的にみて、日本にとってインドネシアはアジアのどの国よりも、強力かつ信頼できるパートナーになり得ると確信している。われわれはインドネシアにとって日本がいかに重要であるか認識しており、日本がインドネシアの経済的な苦境を脱却する支援をしてくれると期待している。他方、インドネシアは日本にとって、地政学的な観点から特に重要な意味を有している。両国はアジア地域の平和と繁栄に向けて協力していく必要がある。

■ 経済関係の拡大と深化

日本とインドネシアの貿易関係に目を転じると、国際的な商品市場の拡大を受け、日本はインドネシアからの非石油・ガス商品の総輸出額の20%以上を占める主要な供給先となっている。他方、日本からインドネシアへの輸出は、タイやシンガポール、マレーシア、フィリピンなど他のASEAN諸国に比して、低い水準にとどまっており、輸出不均衡が近年拡大している。

また、日本の対インドネシア投資が拡大しつつあるとは言え、中国やインド、タイなど他のアジア諸国への投資に比べると、投資額が相対的に低いのが現状である。インドネシアとしては引き続き、透明性の向上や許認可手続きの簡素化など、外国投資家にとって魅力的な投資環境を整備していく。

なお、昨年8月、ユドヨノ大統領と安倍晋三総理(当時)がジャカルタにおいて首脳会談を行った際、エネルギー安全保障の観点から、インドネシアにおけるエネルギー開発・利用に対する日本の投資増大が重要であるとの認識で一致した。私は、こうした投資活動が、石油・ガスや他のエネルギー源の発見につながればと期待している。

■ 日本インドネシア友好年2008〜新たな半世紀に向けて〜

日本インドネシア友好年である今年、われわれはともに協力して、記念事業を成功させたい。この点、さる1月20日、ジャカルタにおいて、秋篠宮同妃両殿下ご臨席の下、オープニング記念式典が成功裡に開催されたことは誠に意義深く、インドネシアにとっても大きな出来事であった。友好年を一里塚として、日本とインドネシアを結ぶ「赤い糸」(Benang Merah)を一層揺るぎないものにしたい。

【国際第二本部経済連携担当】
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