日本経団連タイムス No.2896 (2008年3月6日)

民主党幹部と懇談

−政府与党と建設的・積極的政策協議行い改革推進を


日本経団連は2月14日、都内のホテルで民主党幹部との懇談会を開催した。会合には民主党側から小沢一郎代表、菅直人代表代行、直嶋正行政策調査会長ら15名、日本経団連側からは、御手洗冨士夫会長はじめ14名が出席し、当面の重要政策課題などについて意見交換を行った。

御手洗会長が要望

開会にあたってあいさつした御手洗会長は、「サブプライムローン問題や株価の低迷、原油高などにより、景気の先行きには不透明感がある。加えて、少子・高齢化、グローバル競争の激化など、課題は山積している」と述べた上で、「難局を乗り越えて国民が豊かさを享受できるようにし、わが国を『希望の国』にするためには、引き続き改革を強力に推し進める必要がある。日本経済に新しい成長力を創造するために、民主党は参議院の第一党かつ責任政党として、政府与党と建設的・積極的な政策協議を行い、粛々と改革を推し進めていただきたい」と要望した。

続いて民主党の小沢代表は、「日本を取り巻く諸状況にきちんと対処するには、戦後半世紀以上にわたって続いてきた政治、行政、経済、社会全般の仕組み・制度を根本から変えて、新しい激変する時代に対応していかなければならない。従来の制度や仕組みを前提としている限り、議論はかみ合わず、国民が正確に状況を理解できない。本日はこのような観点から率直な意見交換を行いたい」とあいさつした。

次に民主党の直嶋政調会長が、「昨年の参院選では『生活第一』を掲げ、年金問題、子育て問題、農業問題などで、国民の評価を得た。現在は、それを政策的にどう実現していくかという観点から予算のあり方について提案しようとしているところである」と発言。民主党として、子ども手当を創設すること、農業の個別保障政策を実施すること、ひも付きになっている補助金を地方分権推進のために一括交付金に改めることなどを考えていると説明した。また道路特定財源制度問題については、ガソリンの暫定税率を廃止するとともに、本則税率分の一般財源化を行うべきだと主張した。

意見交換では日本経団連側から、「来年度予算に関連した税制改正については、国民生活の混乱を生じさせないよう、早期成立を図ってほしい」(氏家純一副会長)、「CO2の規制については、国別の総量目標を科学的根拠のないまま、トップダウンで設定する方法ではなく、エネルギー効率をベースに、セクター別の積み上げによって新たな目標をつくっていくべきではないか。また、原子力の活用は、地球環境問題や、わが国のエネルギー安保にとっても大変重要なので、与野党一体となって国益の観点から考えてほしい」(勝俣恒久副会長)、「日本経団連では2015年を目途に道州制の導入を唱えているが、民主党も道州制の導入について改めて検討願いたい」(渡文明副会長)などの意見が示された。

これに対し民主党側は、「道州制について否定しているわけではないが、とりあえずいまの市町村を合併し、300ぐらいの基礎的自治体をつくり、日常的生活に関係ある施策をそこで実施してはどうかと考えている」(直嶋政調会長)、「個人的意見だが、CO2排出については、国別の総量目標に加えて、国民1人当たりの排出量の長期目標を立てるべきではないか。環境問題というのは、文明論的な問題であり、人間のライフスタイルについて考え直す必要がある。原子力の重要性について否定するものではないが、同時に、ソーラーや風力といったクリーンなエネルギーも真剣に考えるべきではないか」(菅代表代行)などと応じた。

【社会第二本部政治担当】
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