日本経団連タイムス No.2898 (2008年3月20日)

キャリアアドバイザー・フォローアップセミナー開催

−日本経団連事業サービス


日本経団連事業サービスは8日、都内で12回目となるキャリアアドバイザーのフォローアップセミナーを開催した。同セミナーは、企業や教育機関などで活動するキャリアアドバイザーの資質の維持・向上のために、年に数回実施しているもの。

第1講座は、有田五郎帝京大学キャリアサポートセンター次長を講師に迎え、「キャリアサポートの現場から〜企業と大学の違いとは何か」をテーマに、現場で培われた経験に基づく講演を聴いた。キャリアカウンセリングにおいて先進的な企業で活躍していた有田講師は、若年者に対する支援活動を志向して大学に移り、自らファシリテーターとなって課題解決型の「社会人基礎力」の授業に携わりながら、キャリアの面から大学生をサポートしている。その中で、自律にほど遠い大学生の現状、狭くて安易な友人関係の実態を目の当たりにしたことを踏まえ、「これからはより若い時期からのキャリア意識の醸成が不可欠であり、それが本来の自律につながる」と強調した。

第2講座は、黒澤朗厚生労働省労働基準局監督課中央労働基準監察監督官から、1日に施行された「労働契約法の考え方とポイント」をテーマに説明を聴取した。労働契約法は、近年個別労使紛争が増えつつある中で、個別の労働者および使用者の労働関係が良好なものとなるようにルールを整えたものである。講演では、労働契約の締結時、変更時、継続または終了時、有期労働契約にあたって、それぞれの時期で留意すべき具体的なポイントについて解説。労働契約の変更に関しては、これまでに積み上げられた判例の考え方に準拠すべきとの説明があった。

続く第3講座は、敷寿枝神田東クリニック臨床心理士を講師に、「キャリアアドバイザーに必要なメンタルヘルスの知識」についての講演を聴いた。まず、メンタルにかかわる代表的な疾病であるうつ病の基礎知識、症状、治療上の留意点について説明。次に、そのような症状を持つ相手と直接面談する場合、通常のやり方から治療につながるような傾聴方法に変えることでいかに効果が上がるかを説明した上で、その際に重要ないくつかのポイントを紹介した。さらに、面談における傾聴のコツを身に付けるため、具体的な例題をもとにロールプレイを実施。参加者がアドバイザー役とクライアント役に分かれ、心身の変調から発せられるサインを見逃さないために、どのような点に注意して話を聴くか、相手に対する客観的理解と共感的理解をいかに使い分けるかについて学んだ。

【日本経団連事業サービス研修担当】
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