日本経団連タイムス No.2900 (2008年4月3日)

今後の省エネ政策めぐり資源エネルギー庁と懇談

−関係部会を合同で開催


日本経団連は3月25日、東京・大手町の経団連会館において、資源・エネルギー対策委員会企画部会(佐藤順一部会長)と環境安全委員会地球環境部会(猪野博行部会長)の合同部会を開催し、資源エネルギー庁の三木健・省エネルギー対策課長から、省エネ法の改正案を中心に、今後の省エネルギー政策について説明を聴くとともに、意見交換を行った。三木課長の説明概要は次のとおり。

1.エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)の抜本的見直し

政府は3月4日、省エネ法の改正案を閣議決定した。今国会での成立をめざし、規制、支援、国民運動を強化する観点から、現在、具体的な基準等を検討している。

2.規制の強化

(1)事業者(企業)単位のエネルギー管理の導入

現行の省エネ法は、エネルギー使用量が一定以上の工場・事業場ごとに所要のエネルギー管理を義務付けている。
今後は、企業のエネルギー管理の実態を踏まえ、事業者単位のエネルギー管理制度を導入する。また、コンビニ等のフランチャイズチェーンについても、一事業者ととらえ、事業者単位と同様の制度を導入する。
これにより、業務部門の規制対象カバー率は、現行の約1割から約5割へと大幅に拡大する。

(2)セクター別ベンチマーク方式の導入

主要業種について、工場の省エネ基準に共通の評価指標(ベンチマーク)を導入し、業種ごとに省エネ水準を客観的に評価できる枠組みを検討する。

(3)住宅・建築物の省エネルギー性能の向上

これまでの省エネ法の改正により、一定規模(2000m2)以上の建築物の新・増改築に際して省エネ措置の届出義務を課し、その措置が著しく不十分な場合には指示・公表するなど、随時、規制を強化してきた。その結果、大規模な新築建築物については、省エネ基準を満たすものが8割強に達しているものの、新築の住宅では3割前後にとどまっている。こうした状況を踏まえ、今後は、(1)大規模な住宅・建築物への措置の強化(指示、公表に加えて命令を導入)(2)中小規模の住宅・建築物への届出義務等の導入(3)住宅を建築・販売する事業者には省エネ性能を向上する措置の導入(4)住宅・建築物の省エネルギー性能の表示――等を推進する。

(4)トップランナー機器の追加、拡充

トップランナー規制の対象となる家電製品のエネルギー使用量は、家庭全体の約8割をカバーしている。今後は新たに出荷が伸びている製品や業務用機器への拡充や、目標年度に到達した機器への新規目標の設定等を検討する。

3.支援の拡充

(1)複数企業による「共同省エネルギー事業」の創設

大企業と中小企業が共同で実施する省エネ活動や、コンビナートにおいて複数の企業が連携して行う省エネ活動などを「共同省エネルギー事業」と位置付け、評価する制度を創設する。

(2)中小企業、業務・家庭部門の省エネ対策支援の強化

省エネ診断やESCO(Energy Service Company)を活用した中小企業等による省エネ対策への支援や、税制措置の拡充を通じて高い省エネ性能を持つビルや住宅の普及を図る。

(3)革新的な技術開発の推進

昨年4月に取りまとめた省エネルギー技術戦略に基づき、革新的技術の開発を加速的に進めていく。

4.国民運動の強化

省エネ家電普及促進フォーラムの活動や「省エネ家電、省エネ住宅(ロ・ハウス)」構想の推進等を通じ、国民の意識改革を一層促したい。

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資源エネルギー庁からの説明に対し、日本経団連側から「企業単位のエネルギー管理制度を導入する際、子会社や事業会社の取り扱い等は企業経営の実態に即して柔軟に対応してほしい」といった要望などが出された。

【産業第三本部】
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