日本経団連タイムス No.2902 (2008年4月17日)

日本経団連自然保護基金の08年度支援プロジェクト決定

−国内16件、海外49件の65件/単年度支援、初の2億円超えに


日本経団連自然保護基金(KNCF)は、3月17日に行った同基金運営委員会において、2008年度の自然保護プロジェクト支援先を決定した。08年度は、申請のあった170件のプロジェクトのうち、最終的に、国内16件、海外49件の65件を対象に、総額2億300万円の支援を行うこととなった。

KNCFは1992年の設立以来、アジア・太平洋地域を中心とする開発途上国でNGOによって行われている自然保護プロジェクトを支援しており、また01年度からは国内の活動にも支援対象を広げた。これまでの16年間で累計800件、約23億6700万円の支援を行っている。

地域別件数ではアジアが485件(61%)と最も多く、国別にみるとインドネシア、中国、フィリピン、タイの順となっている。太平洋地域はパプアニューギニア、パラオをはじめ累計47件(5.9%)、アフリカ38件、南米32件となっている。

一方、国内では8年間で114件の支援が行われており、特別天然記念物であるニホンヤマネやツシマヤマネコ、トキなど希少動物の保護、環境教育、里山保全などさまざまな活動を支援している。

IUCN申請では4件決定

08年度の特徴としては、まず単年度の支援額として初めて2億円を超えたことが挙げられる。06年、07年と2年続けて寄附金総額が2億円を上回り、また高評価のプロジェクトが数多く出ているためである。またIUCN(国際自然保護連合)の申請プロジェクトからは4件が決定し、UNEP(国連環境計画)が推薦したプロジェクトも採用された。これは生物多様性保全に関する国際的な関心が高まる中、これら国際機関の積極的な役割が評価されたといえる。

また今年5月に行われる国連生物多様性条約第9回締約国会議(CBD/COP9)関連では日本企業の活動事例紹介などCOPでの成果づくりに関する案件の支援が決定している。

その他、地域的にはインド、バングラデシュからの申請が39件を超え、両国合わせて6プロジェクトの支援が決定した。ウミガメ保全やマングローブ植林活動と環境教育活動を組み合わせるような形で地域の貧困対策と組み合わせ、複合的に行うプロジェクトが中心である。

継続案件は38件と過半を占めるが、新規のものとしては、ブラジル移民100周年を記念した日系人を中心にした植林事業や田んぼを生物多様性保全と環境教育の場とするプロジェクトなどが特徴的である。

これらの支援プロジェクトの詳細に関しては、KNCFのホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/kncf/)等で、公開する予定である。

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KNCFは日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)が委託者となり、日本経団連会員企業を中心とする法人や、個人から寄付を得て運営している。CSRの高まりによる企業の自然・環境保護活動への関心の高まりや、業績の回復等もあいまって、07年度の寄付金は、前年度を上回ることができた。

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