日本経団連タイムス No.2908 (2008年6月12日)

ダヴィッド・アンゴラ産業相と懇談

−最近のアンゴラ情勢等聴く


日本経団連は5月30日、東京・大手町の経団連会館で、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV、於横浜)に出席するため来日したアンゴラ共和国のダヴィッド産業大臣との懇談会を開催。日本経団連からは坂根正弘評議員会副議長、土橋昭夫サブサハラ地域委員長、茅田泰三サブサハラ地域委員会企画部会長ほかが出席した。懇談会では坂根副議長のあいさつに続き、ダヴィッド産業相が最近のアンゴラ情勢等について説明した。概要は次のとおり。

昨年10月に日本経団連のミッションがアンゴラを訪問して以来、多くの企業がアンゴラを訪れており、日本の民間企業とアンゴラの協力がさらに拡大していくことを期待している。

アンゴラのGDP(2007年)は約514億米ドル、一人当たりGDPは約2700米ドルとなっており、政治的にも安定している。豊富な天然資源に恵まれ、原油や天然ガス、ダイヤモンドのほか、鉄鉱石、金、石灰岩、花崗岩、リン鉱石なども潜在性が高い。加えて大西洋に面しているため魚介類が豊富なほか、森林が多く木材にも恵まれている。農業、鉱業、製造業に非常に強い潜在力を持った国である。

02年の内戦終結後、政府はインフラの再建と市場の安定化に努めてきた。近年高成長が順調に続いている事実は、経済政策が正しい路線に乗っているという証であり、外国からの投資を十分に吸収できる条件も整っている。

GDPに占める産業セクター別の比率は、鉱業が60%と圧倒的に高い。農業も大きな割合を占め、かつ増加している。製造業の割合も05年の3.6%から07年には5.5%へと増加している。石油業の割合が非常に高いことにかんがみれば、製造業部門の伸張がいかに大きいかがわかるだろう。これは、04年以降アンゴラへの直接投資が大きく増加していることによるものである。

政府では、直接投資をさらに促進するために財政・経済制度両面で、さまざまな改革を行っている。ビジネス環境に関しては、いわゆる「ワンストップ・ショップ」などの法制度も整備されている。これにより、外資系企業がビジネスを始める際に、1カ所で諸手続きを済ませることが可能となる。また、配当など利益の送金は自由化されており、投資も保護されている。さらに、外国人、アンゴラ人を問わず企業を所有することができるなど、ダイナミックな民間部門が整備されている。

また、アンゴラは、コトヌー協定(EUとアフリカ・カリブ海・太平洋諸国の開発協力協定)やAGOA(米国によるアフリカ成長機会法)、SADC(南部アフリカ開発共同体)などを通じて自由貿易関係を強化している。こうした友好関係の強化によって市場が拡大、SADCだけでも2億人以上の中で自由貿易関係が構築されている。

アンゴラは石油産出国であり、特に下流部門への投資機会が大きいが、新しい油田探索への投資機会もある。今年9月には陸上および海上での石油探索が行われる。一方、国内の製油能力は限定的であり、ほとんどは原油のまま輸出され海外で精製されている。そこで現在、2カ所の製油所の建設を計画、石油化学工業やプラント、LNG・石油運搬船などへの日本企業の直接または金融面での参加を期待している。

石油以外にも鉄鉱石やアルミ、銅など金属鉱物資源の開発が有望である。

また、世界的に食料危機が叫ばれる中、気候が良好で雨の多いアンゴラは農業に適しており、日本企業には農業関連産業にも関心を持ってほしい。

アンゴラでは産業開発特区を設け、入居企業のために電気や水、建物などを提供している。こうした特区を通じて比較的容易にアンゴラに進出する機会があることを強調したい。また、タックスホリデーなど、税制上のインセンティブの提供のほか、ANIP(民間投資庁)において、民間投資の円滑化を図っている。

【国際第二本部中南米・中東・アフリカ担当】
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