日本経団連タイムス No.2908 (2008年6月12日)

08年度UWC派遣奨学生激励会開く

−新奨学生ら約60名出席


日本経団連が事務局を務めるユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会は4日、東京・大手町の経団連会館で通常総会を開催。その後、2008年度UWC派遣奨学生激励会を開催した。

同激励会は、今年度派遣する奨学生を激励するとともに、渡航前のオリエンテーションを兼ねており、新奨学生7名と保護者、協会役員、UWC卒業生ら約60名が出席した。

激励会の冒頭、会長の藤田譲氏(朝日生命保険社長)は、あいさつの中で、「わが国では次世代リーダー育成の重要性が叫ばれて久しいが、まだまだ不十分である。昨今議論されている留学生30万人計画でも日本が留学生の受け入れを増やすことがうたわれているが、わが国の未来のためには、日本の優秀な高校生を海外に送り出すことの方がはるかに重要である。UWC日本協会は、1972年以来、毎年、優秀な高校生を世界各国のカレッジに派遣してきた」とUWCの意義を強調した。奨学生に対しては、「精一杯学び、精一杯遊び、世界中にたくさんの友人をつくり、UWCの精神を体得してもらいたい。現在スペースシャトル・ディスカバリーに搭乗して国際宇宙ステーションに滞在中の星出彰彦宇宙飛行士も当協会の奨学生である。彼に続いてもらいたい」と大きな期待を寄せた。

一方、保護者に対しては、2年間の留学期間を有意義に過ごせるよう、奨学生が日本のさまざまな伝統文化に触れる機会を設けることや、語学学習などに特段の配慮を要請した。また、参列した卒業生に対しては、「いずれは協会の活動を主導するつもりで、勉学や仕事に励んでもらいたい」と檄を飛ばした。

続いてあいさつに立った同協会理事で第3期奨学生の出川昌人・ソシエテ・ジェネラル・アセット・マネジメント社長は、「UWCへの留学は人生を変える。UWCでの2年間には、苦しいこともあるとは思うが、精一杯楽しんできてほしい」と述べた。

また、UWC卒業生を代表してあいさつに立った新見藹・NHK番組制作局学校教育番組部ディレクター(97年カナダ校を卒業)は、「国際機関で働くことを夢見てUWCへ留学したが、留学を通じて、世界各地で今起こっている出来事を伝えることも重要だと知り、報道する側に回りたいと思うようになり、放送局に就職した。UWCで2年間過ごすことにより、自分探しをしてもらいたい」とエールを送った。

これらのエールに対して、新奨学生は、「日本文化を良いかたちで伝えたい」「日本や自分自身を見つめ直してみたい」「多くのものを学びたい」「世界各国から派遣される奨学生と交流を深め、視野を広げたい」と抱負を語った。

新奨学生は、激励会の場を通じて協会役員と懇親を深めるとともに、オリエンテーションの際には、先輩奨学生から渡航準備や渡航後の学業、生活等に関する具体的なアドバイスを得、8月中旬から9月上旬の渡航に向けて目を輝かせていた。

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ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC、本部=ロンドン)は世界各国から選抜・派遣された高校生を受け入れ、国際感覚豊かな人材を育成する国際的な民間教育機関。英国、カナダ、香港など世界12カ国・地域にカレッジ(高校)が点在し、各校は、2年間にわたり、70カ国以上から高校生を受け入れ、国際バカロレアのカリキュラムにのっとり各教科を履修するだけでなく、国際理解教育やボランティア活動、地元コミュニティーへの貢献など、次世代リーダーの育成を重視した教育を行う。
日本からは現在、6つのカレッジに、毎年計7〜10名の奨学生を派遣、400名を超える卒業生を輩出している。
ユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会は、UWCの日本支部として、72年に、当時の駐日英国大使の協力要請に応えて発足(当時はUWC日本国内委員会)。以来、53社・2名の会員の協力を得て、奨学生の選考・派遣、奨学金支給等の事業を行っている。同協会の事務局は、日本経団連が務めている。

【社会第一本部人材育成担当】
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