日本経団連タイムス No.2909 (2008年6月19日)

自民党・中馬行政改革推進本部長と懇談

−自民党の行政改革・規制改革への取り組み聴き意見を交換/行政改革推進委員会


日本経団連は5日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会(前田晃伸委員長)を開催した。会合では、来賓の中馬弘毅・自由民主党行政改革推進本部長から自民党の行政改革・規制改革への取り組みについて聴き、その後、今年度の日本経団連規制改革要望案について審議・了承した。中馬本部長の講演概要は次のとおり。

自民党では、規制一辺倒の中央政府による行政を見直すとの観点から、総裁直属の行政改革推進本部を設置し、各委員会での議論をもとに改革を推進している。福田総理も、道路特定財源の一般財源化や、公益法人、公務員制度などの改革を具体的に進めようとしており、頼もしく思っている。

〈道路特定財源の一般財源化〉

道路特定財源を道路整備のためだけに使うのではなく、日本全体のために使っていくのが改革の目的である。抵抗もあったが、世論の後押しもあり改革を進めることができた。関係する公益法人や独立行政法人の改革もあわせて進めており、透明かつ効率的な道路整備が行えるよう制度を改変していくつもりである。

〈公益法人改革〉

道路関係の公益法人のみならず、福田総理はすべての公益法人をゼロから見直すよう指示を出した。「経済財政改革の基本方針2008」(骨太の方針)に改革の原則が明記されることになっている。

〈公務員制度改革〉

小泉政権末期に、改革の方向性について案を示し、その後、官民人材交流センターの設置を規定した改正国家公務員法が制定された。その際、抜本改革については、まずは基本法を制定することになり、検討が進められた。与党内部でも議論はあったが、福田総理が今国会中に法案を成立させよと指示を出し、民主党と協議の結果、最終的には行革本部案に近い内容の修正法案となった。採用の一元化については明示されていないが、内閣人事局の機能や具体的な採用方法なども含めて今後の制度設計に委ねられることになっている。

〈規制改革〉

構造改革特区制度など地域が独自に発展する足がかりとなる制度を導入し、民間事業者による提案が活かされるよう仕組みをつくったので、ぜひ活用してほしい。規制改革については要望数や実現度合いが低下する傾向にあるが、医療や農業などの分野で改革を進めていきたい。
市場化テストは、官民あるいは民間競争入札の制度を構築したが、まだ十分には活かされていない。今後、積極的に活用されることが期待される。

〈中央省庁改革〉

橋本内閣で大規模な省庁再編を行ったが、今後は省庁横断的な行政を実現するため、科学省や情報省の創設も考えていきたい。福田総理の決断により、消費者庁が設立されることになったが、これも省庁横断的な行政の実現に資するだろう。

■意見交換

続いて行われた意見交換では、日本経団連側から、「国家公務員の採用の一元化のような抜本的な改革を実現する必要がある」「公務員の人事評価制度を機能させるために相対評価制度への移行を進めるべきである」といった意見が出された。これに対して中馬氏からは、「今後具体的な制度設計を行うので、採用の一元化の方針が示されることを期待している」「民間の人事評価システムを根付かせたい。内閣人事局でも民間出身者を登用し、人事制度に民間手法を導入したいと思っている」との発言があった。

【産業第一本部行革担当】
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