日本経団連タイムス No.2909 (2008年6月19日)

「民主党と政策を語る会」開催

−社会保障、税制改革、道州制、経済連携、地球温暖化で意見を交換


日本経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で民主党と政策を語る会を開催した。民主党からは直嶋正行政策調査会長、藤井裕久税制調査会長、増子輝彦ネクスト経済産業大臣、福山哲郎政策調査会長代理、長妻昭政策調査会長代理、佐藤泰介財務委員長、前田武志企業団体対策委員長が出席。日本経団連からは張富士夫副会長、森田富治郎副会長、大橋洋治副会長、大橋光夫評議員会副議長、池田弘一評議員会副議長ほかが参加した。

開会あいさつした張副会長はまず、「グローバル化の中、各国は改革にしのぎを削っている。政治には政治の責任として改革を迅速に実現してほしい。民主党も責任政党として、与党と建設的に協議し、具体的な改革の成果を積み重ねてほしい」と述べた。

民主党側は直嶋政調会長があいさつし、「民主党の政策の基本は『国民生活第一』であり、納税者、消費者の生活基盤を確保することが重要」との認識を示した。その上で道路特定財源、後期高齢者医療制度における問題点を指摘した。続いて、藤井税調会長が、民主党の税制改革に対する考え方を説明し、法人税率を国際水準に引き下げる必要には理解を示しつつも、「定率減税の廃止など大衆増税にある中で、どうして法人税だけを下げるのか。世間が納得できる説明が必要だ」と述べた。消費税については、「昨年の民主党税制改革大綱で消費税を年金や医療の財源とすることをうたっている。ただ、税率を引き上げる場合には、政府の無駄を徹底して排除することが前提だ」と発言した。

意見交換では、日本経団連側から、「基礎年金の全額税方式化は、社会保障制度維持のための有力な選択肢の一つ。増加する社会保障給付を賄うため、消費税を含めた税との一体改革を実現すべき」(森田副会長)、「税制抜本改革は喫緊の課題であり、消費税を早急に拡充すべき。国際的な観点から、法人実効税率の引き下げも不可欠」(大橋副議長)、「道州制の導入は、地方分権改革や行財政改革などを伴いながら、地域の自立と活性化を実現するもの。『究極の構造改革』として実施すべき」(池田副議長)、「アジア、欧米とのEPA(経済連携協定)を推進すべきだ」(大橋副会長)、「ポスト京都議定書の枠組みにはすべての主要排出国の参加が不可欠。温暖化防止に向けてはサマータイムの導入が必要。排出権取引制度や環境税の検討は慎重に実施すべき」(猪野地球環境部会長)などの意見が出された。

これに対し民主党側から、「消費税は世代を越えて国民全体で負担するもので、社会保障の財源としてふさわしいと考えている。この点は経団連の基本認識と同様だ。ただし、引き上げるのは、あくまで無駄を排除し、国民が納得した上での話だ」「地方分権改革については、国と基礎自治体から成る2階建ての行政組織にすべきと考える。経団連の議論とは異なる」(直嶋政調会長)、「EPAは、積極的に推進すべきだ。とりわけ東アジアとの連携が重要であり、日中韓の連携強化を推進する必要がある」(増子ネクスト経産大臣)、「排出権取引については、国際的マーケットができつつある。この中では、排出権取引のルール・メイキングにかかわることが重要だ。サマータイムの導入については、一部に強硬な反対があるが、党議拘束を外し、自民・民主の賛成議員で法案を通そうというアイデアもある」(福山政調会長代理)などの発言があった。

【社会第二本部政治担当】
Copyright © Nippon Keidanren