日本経団連タイムス No.2913 (2008年7月17日)

マリ・インドネシア商業相と懇談

−両国経済関係の展望聴く/日本・インドネシア経済委員会総会


日本・インドネシア経済委員会(興津誠共同委員長・辻亨共同委員長)は1日、都内のホテルで2008年度総会を開催した。当日は来賓として、マリ・パンゲストゥ・インドネシア共和国商業大臣ならびにムハンマド・ルトフィ投資調整庁長官を招き、両国経済関係の展望について聴くとともに懇談した。総会には、興津、辻両共同委員長をはじめ委員約50名、インドネシア側政府幹部十数名が出席した。

冒頭、興津共同委員長は、日本経団連ではかねて、日・インドネシア経済関係をさらに緊密化する観点から、経済連携協定(EPA)を早期に締結するよう両国政府など関係方面に要望してきたところ、本日(1日)、日・インドネシアEPAが発効に至り、感無量であると述べた。

次いでマリ大臣はまず、提言「日・インドネシア経済連携協定(EPA)の早期締結に期待する」(06年6月)など、日本経団連のこれまでのEPA交渉プロセスへの全面的な支援に対し謝意を表明した。また、インドネシアのマクロ経済の現状とともに、07年3月に成立した新投資法や、国会で最終審議段階にある税制改正法案など、投資環境整備の取り組みを紹介した。

その上で、日・インドネシアEPAは、両国の経済関係を強化する歴史的な第一歩であるとし、EPAによる投資環境の改善が日本の投資家の信頼を高めることに期待を表明した。また、インドネシアを貿易相手国にとどまらず、ASEAN地域の生産・供給拠点としてとらえてほしいと要望した。

さらに、マリ大臣は、(1)貿易・投資の自由化(2)貿易・投資の円滑化(3)キャパシティ・ビルディング――というEPAの3本柱について詳しく説明した。(1)については、物品・サービス貿易の自由化に関連する人の移動が極めて重要であり、特にEPAの枠組みの下、インドネシアからの看護師・介護福祉士派遣が適切に行われるよう注視したいと述べた。(2)については、税関・港湾諸手続きなどの標準化での協力に加えて、日本人投資家の信頼を高めるため、インドネシアの投資環境整備の現状などを説明する場を日本で設けてほしいと要望した。(3)については、EPAにより創設される製造業開発センターの活用で、民間経済界の各種支援を得たいと述べた。

一方、ルトフィ長官は、日本のインフラ整備への協力や投資拡大に期待を表明。その候補として、リアウ州やバンクル州などの鉱物・エネルギー資源や有望な産業分野などを紹介した。

電力問題などで意見交換

意見交換では、日本側から、操業中の工場での停電が頻発していることが日系企業間で問題となっていることを指摘し、電力不足への対策や今後の安定供給の見通しについて質問した。これに対し、マリ大臣は、国営電力公社と需要家との間で、計画停電のスケジュールについて対話を深める必要があると述べた。また、ルトフィ長官は、現在、国内の電力需要に応える上で石炭を安定的に供給するための戦略を再構築しており、これにより、2010年までに工業用電力の供給能力は安定化するが、家庭用の需要を満たすには10年以上を要するかもしれないと述べた。

最後に、マリ大臣は、懇談会の場を設けた同委員会に謝意を示すとともに、引き続き、両国の経済関係強化に向け対話を重ねていきたいと締めくくった。

【国際第二本部経済連携担当】
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