日本経団連タイムス No.2915 (2008年7月31日)

経営労働政策委員会が今年度第1回会合開く

−09年版経労委報告の作成方針などを審議


日本経団連は22日、東京・大手町の経団連会館で経営労働政策委員会(経労委、議長=御手洗冨士夫会長、委員長=大橋洋治副会長)の今年度第1回会合を開催し、2009年版経営労働政策委員会報告(以下、経労委報告)の作成方針(案)ならびに骨子(案)についての審議を行った。

同報告は、春季労使交渉・労使協議と雇用、労働市場など「人」にかかわる問題についての経営側の基本スタンス、考え方の指針を取りまとめたもの。

冒頭、御手洗議長があいさつ。「企業経営における最も重要なリソースは人である。しかし、長期的には少子・高齢化に伴う人口の減少、短期的には年金制度問題に代表される国民の安心・安全への信頼喪失などの課題が山積している。各企業においてはグローバル化の急速な進展や国民の価値観の多様化への対応に迫られている」との現状認識を示した上で、「社会の潮流の変化に合わせた働き方の多様化や、それに呼応した公正な人事・賃金制度への変革」の必要性を指摘した。

また、(1)国民の間に広がる将来への不安や閉塞感を打開する視点(2)優れた人的資本の蓄積を競争力強化につなげていく視点(3)企業のあらゆる取り組みは、良好で安定した労使のコミュニケーションを前提に実現されるという視点――の3点を、議論を進める上での重要なポイントとして挙げた。

続いて、今年から委員長に就任した大橋副会長があいさつし、「本委員会は社会から注目を集めており、果たすべき役割が非常に大きい。経営環境は厳しさを増しているが、逆境の時にこそ、経営者も従業員も挑戦する精神が求められる。委員の皆さまと大いに議論し報告をまとめ上げたい」と抱負を語った。

その後の審議では、まず作成方針(案)について意見交換し、昨年度同様、春季労使交渉・労使協議に向けた指針という同報告の基本的な役割を踏まえ、企業経営と労使関係・労働諸施策に直接かかわる課題・要望にできる限り内容を絞り込むことが了承され、その上で骨子案について審議した。

各委員からは、人事賃金制度の今後の方向性、ワーク・ライフ・バランス施策の推進、社員のモチベーション向上、労働法制の動向、資源高をはじめとする昨今の経済状況の変化、中小企業や地方の活性化などについて意見が出された。

今後は10月、11月に同委員会を開催し、12月中旬に09年版経労委報告を取りまとめ発表する予定。

【労政第一本部企画担当】
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