日本経団連タイムス No.2917 (2008年8月14日)

社会貢献シンポジウム開催

−「CSR時代の社会貢献活動」テーマに/記念講演やパネル討論、分科会討議などを展開


日本経団連(御手洗冨士夫会長)、日本NPOセンター、国際協力NGOセンターの三者共催による「社会貢献シンポジウム」が7月31日、東京・大手町の経団連会館で開催された。同シンポジウムは、日本経団連社会貢献推進委員会の『CSR時代の社会貢献活動』の出版を記念したものであり、当日は、日本経団連の会員やNPO・NGO関係者、一般参加者など385名が参加。午前の第1部では、社会貢献推進委員会の古賀信行共同委員長、佐藤正敏共同委員長のあいさつ、山本正・日本国際交流センター理事長の記念講演、パネルディスカッションが行われた。午後の第2部では、3つの分科会に分かれ、協働事例をもとに、企業とNPOの対話を深めた。共催三団体のコーディネーターによるフォローアップセッションの後、片山信彦・国際協力NGOセンター副理事長と山岡義典・日本NPOセンター代表理事のあいさつで締めくくった。第1部の主な発言は以下のとおり。

■ 古賀・佐藤両共同委員長あいさつ

古賀共同委員長は、企業が持続的に成長・発展を続けるためには社会貢献活動を慈善活動にとどめず、「未来社会への投資」と位置付け社会的リターンや企業価値の向上につなげることが求められ、また、地球温暖化や食糧問題などさまざまな社会問題を企業・NPO・労働組合など、あらゆる組織が連携し解決していくことが重要だと述べた。佐藤共同委員長は、社会的課題の解決をめざす活動は、ステークホルダーとの積極的なコミュニケーションがカギであり、また、CSRを推進していくためには、経営者のリーダーシップが最も重要であると述べた。

■ 記念講演

山本日本国際交流センター理事長は、社会貢献活動を推進する上での企業・NPOの協働の重要性を強調。組織内外を刺激して動かすためのカタリスト(触媒)の存在や、協働に向けた信頼関係を築くことのできる対話の場の必要性を訴えた。また、地球的課題の解決には企業・NPOの民間としての協働をベースに、政治・行政・メディアなどセクターを越えた協力へと発展させていくことが有効だと指摘した。

■ パネルディスカッション

続くパネルディスカッションには、道傳愛子・NHK解説委員、青木滋・日本自動車会議所企画部長、東富彦・日本電気CSR推進本部社会貢献室長がパネリストとして参加。「持続可能な社会づくりに向けた社会貢献活動とは」をテーマに、社会貢献活動と企業活動の関係性や、国内外の企業の社会貢献活動の取り組み事例などについて、嶋田実名子・日本経団連社会貢献担当者懇談会座長をコーディネーターに、活発な議論が行われた。

青木氏からは、本業と社会貢献活動の融合という視点から、各企業が自らの得意分野で社会的課題を解決することが効果的であり社会全体でも効率が良いとの発言があった。

東氏は、社会起業家精神の醸成やソーシャル・インクルージョン(社会的包括)などの新しい領域の活動事例を紹介しつつ、企業とNPOのパートナーシップを構築するためには、優先的に取り組む社会的課題を見つけ、両者でWin‐Winのプログラムをつくるなど協力事例を積み重ねていく必要があると述べた。

また、道傳氏は、国際社会から期待のあるジャパンブランドを効果的に発信していくことや、人間の安全保障の視点を持つことの重要性について述べた。

【社会第二本部】
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