日本経団連タイムス No.2917 (2008年8月14日)

ナーセル・クウェート首相招き歓迎昼食会

−日本経団連など経済4団体が開催


日本経団連(御手洗冨士夫会長)、日本商工会議所(岡村正会頭)、経済同友会(桜井正光代表幹事)、日本貿易会(勝俣宣夫会長)の経済4団体は7月29日、都内のホテルでシェイク・ナーセル・クウェート国首相の歓迎昼食会を開催した。昼食会では、経済同友会の桜井代表幹事のあいさつに続いて、ナーセル首相があいさつした。

冒頭、ナーセル首相は、クウェートと日本の経済交流の歴史に触れ、1961年に最初の商業ミッションがクウェートを訪問して以来、多くのミッションが派遣され、その後の日本・クウェート友好協会の設立や民間合同経済委員会の設置により両国の友好関係が強化されたと述べた。こうした努力によって、日本はクウェートの原油輸出の25%を占める最大の輸出先となり、クウェートを世界第5位の原油輸出国に押し上げたと指摘した。

また、両国の関係が商業分野のみならず、クウェートにおける各種プロジェクトや共同研究・開発、油井の生産装置・メカニズムでの技術協力にも広がっていることを紹介した。

次に、近年における二国間の貿易不均衡の拡大に触れ、これは原油価格高騰だけではなく、ユーロや円に対するドルの下落にも起因すると強調。原油価格は生産によってのみ決まるのではなく、国際政治や地域情勢、消費国の在庫、投機などに大きく左右されるとの見解を示した。

特に原油高の原因が産油国にあるとの見方を否定し、クウェートは国際社会における責任を認識しており、燃料・エネルギー源に対する貧困国のニーズ、食料価格などへの影響にかんがみ、原油高を望んでいないと強調した。

一方、均衡の取れた需給政策を見いだそうと石油生産国が不断の努力をしているにもかかわらず、石油の生産量が限られていることもまた事実であると指摘。今後数十年にわたる国際需要を満たすため、段階的な生産能力の増強をめざし、新しい油井掘削や先進的な石油技術の開発計画を立案していると紹介した。これらプロジェクトは巨額の投資を要するので、日本をはじめ友好国による投資拡大に期待を示し、クウェートは可能な限り、石油を供給し続けると述べた。

また、クウェートは中東地域で最初に近代的な金融機関を設立した国であり、国際経済におけるその重要性は石油分野にとどまらないと指摘した。

具体的には、湾岸・東地中海諸国、中央アジア諸国へのゲートウェーとしてのクウェートの地理的な利点を挙げ、これをさらに世界貿易のゲートウェーとするための計画を策定したと紹介した。道路やダム、橋梁、鉄道の建設、巨大な港湾整備、クウェート国際空港の拡張、金融都市の整備、最新の通信サービスの提供、公共サービスの電子化、人材開発のニーズを満たす教育政策の導入などによって、外国投資をクウェートに誘致し、クウェートをこの地域のビジネス拠点にしたいと述べた。

最後にナーセル首相は、日本が中東地域の平和構築に果たしてきた建設的な役割に謝意を表し、相互の戦略的関係を強化するため、湾岸協力会議(GCC)と日本のFTAやクウェートと日本の二重課税防止条約締結に期待を示すとともに、日本の経済界と対話を継続することが両国間の投資拡大につながると締めくくった。

【総務本部渉外担当】
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